国立西洋美術館(以下、西洋美術館)...上野公園、上野駅公園口を出てすぐ
まず本館の建物がいいですね。ご存じ 近代建築の巨匠
ル・コルビュジェの設計、スマートでおしゃれですね。日本のモダニズム建築の白眉です。
当館は、松方コレクションの絵画808点。彫刻63点を母体に順次作品を増やし、中世以降現代までの作品を収蔵しているが、何と言ってもすごいのは、ロダンの「地獄門」、「カレー市民」などの彫刻60点、パリのロダン美術館に次ぐ大コレクションです。
絵画ではやはり松方コレクションのなかの印象派の作品がいいですね。なかでも、モネの作品は15点、日本に現存するモネ作品の半数がここにあります。その中でも「睡蓮」は日本にあるモネの「睡蓮」中最高作だと思います。
松方コレクション以外の作品では、これはすごいと思うものは見当たりません。このことにはやむを得ない理由があります。開館当初は日本も貧乏で購入予算が少なく、やっと豊かになったら美術ブームで作品が高騰して、これまた予算不足で名品を買い上げることができなかったのです。
その頃民間の個人や法人は予算に拘束されることもなく、数十億円から百億円を超える高価な絵画を買い漁り、名品は全部日本人が買い取るのではないかとまで言われました。
ところがバブルがはじけると、一部を除きほとんどが海外に流出したといわれています。「奢る平氏は久しからず」という例えのとおりでした。
西洋美術館は作品数の増加に伴い、増築を重ねてきましたが、それでも手狭で特別展を開催するときは、常設展示物を片付けなければならなかったが、本館前庭の地下に広い特別展示場ができたので常設・特別展示を同時に開催できるようになりました。
私はこの地下の展示場で「オルセー」展を観ました。パリのオルセー美術館には一度行っていましたが、どんな作品が日本に来ているかと思って、西洋美術館にも行ってみたのですが、一部を除いてつまらないものばかりでがっかりしました。
特別展といってもつまらないものもあることを認識しました。私は、西洋美術館には4回行きましたが「オルセー」展が最後でした。
書き忘れていたのでロダンの彫刻「カレーの市民」について書き添えます。本館前庭の向かって右側に有名な「地獄の門」があります。この作品はあまりにも有名なので、説明するまでもありませんが、それに対峙するかのように、左側に「カレーの市民」の群像が置かれています。
私は
半世紀ほど前にこの群像のうち2体を倉敷の大原美術館で見たときに、この厳粛で悲壮感に満ちた人物は誰だろうかと調べてみると、1347年にイギリスのエドワード三世がカレー市を包囲攻撃をしたとき、6人の市民が犠牲になって、市の危機を救ったという史実に基づいて、カレーの町を出発する6人の姿を主題にして、その人々の崇高な心情、悲劇的な精神性を表現したものだということが判りました。
私は、西洋美術館でこの彫刻の全体を見たとき、深い感銘を受けるとともに、このまるでキリストのような6人の人々のモデルになったのはどういう人々だったのか気になりました。おそらく、ロダンが選んだのは、無名のカレーの市民だったのでしょう。
西洋美術館の所蔵作品は現在4500点、松方コレの10倍以上になっています。
上野公園には東博、西洋美術館を含めて、7館美術館・博物館があるが、その内 中小規模の美術館2館を見てみましょう。