ミュシャはポスター職人としては一流、画家としては三流と評価されています。ポスターは広告媒体であって真の意味での芸術品ではなく、大衆向けの印刷物です。
従って描かれている内容も通俗的で、且つどれも似たような図柄で個性もなく、品格を云々するようなものではありません。
小生がいう品格とは、人物の美醜は関係なく、画面全体から醸し出る品位です。品格は人物画だけではなく静物画、風景画にもあります。オキテルさんもよくご存じの等伯の「松林図」は独創性、精神性に高い品格も備えた典型的な例でしょう。
20世紀最高の画家と言われるピカソが描く女性をオキテルさんは美しいと思いますか、多分美しいと思わないでしょう。小生も同様です。
然し、ピカソの作品はミュシャの作品の数千倍も評価が高いのです。その理由は種々あるけれども、最大の理由は独創性の差でしょう。
独創性は美術品に限らず、現代社会で最も重要なものです。例えば、ノーベル賞も特許権も独創的なものにしか与えられません。
美術には世界共通の評価基準はありません。作品の評価も時代によって変わります。それだけに、美術は奥深く難解です。小生は美術を勉強し始めてから半世紀以上たちますが、未だに道半ばどころか、道三分の一にも達していません。
それを勉強し始めたばかりのオキテルさんに今すぐ判れと言っても、無理な注文なので、今はミュシャで楽しんでいて、だんだんとレベルを上げていきましょう。
そこでご参考までに小生の美術品や美術展の見方について、ご紹介します。
小生はなるべく一流のものを見るようにしてきました。日展、院展、二科展など大規模な美術展では入賞、入選作品や有名作家の作品だけを見てきました。
作品の見方は
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構図は工夫されていて、且つ安定感があるか
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色調は洗練されているか
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メッセージ性はあるか
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見る人を引き附ける絵力があるか そして何よりも重視したのは
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創造的個性があるか
つまり、高い独創性に加えて、精神性や品格があるかないかで作品を自己評価しています。
ただ自己評価が一人よがりでは、感性が横道にそれてしまうので、客観的評価にも留意しています。(客観的評価を知るには、美術年鑑などと国内外のオークション情報、展示即売会の価額、その他)
オキテルさんもご自分の鑑賞のポイントを定めておくと、美術品を見る楽しみが増え、鑑賞眼もより一層深まるのではないでしょうか。偉そうなことを云いましたが、ご健闘を期待しています。
2013.6.10
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