人前で独奏
2008/5

エレクトーンなる楽器を習い始めて11年になる。これまで、数人で、合奏をする発表会を10回経験してきた。その間、2004年に検定試験8級を合格した。今年2007年には7級に合格した。

いずれも、教えてもらっている先生のおだてと勧めに従って受験したもの。8級や7級が、その数字からして、さほど上手を意味することでないことは分かっているが、どの程度のものなのかは何も分からない。

だが、無級から8級になったと言うことは、少し上達したと言うことだろうと考えた。
7級に合格したときも、びっくりするほど上手い人がいるのを見、自分の習っている先生が、3級だというのを聞いて、まあ、初心者が少しは楽しめるようになった程度と納得した。

つまり、小生にとって、級は、一般的な基準としてはどの程度のことなのかは全く分からないまま、自分の上達の目安と考えている。

今年、4月だったと思うが、先生が、独奏してみないかという。人前で独奏など、小学校の演芸会以来経験のない身は、少々迷ったが、先生の上手いおだてに乗りOKした。

実際の演奏会に先立ち、同じ場所で習っている連中が、成果を仲間内で発表するという機会まで手配してくれた。

実際の演奏会の予行演習のつもりでと言われ、気楽にやったのだが、未だ、練習が十分でないままやったため、小さなミスをたくさんする演奏をしてしまった。

これが、良かった。実際の演奏会の間直前の週は、かなりの練習をして、演奏会に臨んだ。

演奏会では、何故か38番目という遅い出番で、それまでの間他の人の演奏を聴いたのだが、皆上手い。一人も間違いをしてないように見えた。これはやばいと胸が高鳴ってきた。

しかし、いい年をして上がるという歳でもあるまい...と開き直った。演奏中間違えて、どうにもならなくなったら、ご免なさいと、頭を下げて引き下がろうと覚悟を決めた。

実際の演奏の時は、楽器の設定を間違えたが、開き直っていたせいか、直ぐ、演奏を止め設定をし直して、最初から演奏をし直した。

例によって、あっ、やってしまったというミスがいくつかあったが、兎も角最後までやり通した。思ったほど上がらなかったが、決して、良い演奏ではなかったと思った。

兎も角、他の演奏者がやけくそに上手く見えた。何故、小生ごときが、この演奏会に出ているのかと疑問に思った。高齢者がやっているというのが、人目を引くと言うことで進められたのかなとも勘ぐった。

自分の演奏後も、どんどん上手い人が演奏する。ともあれ終わった。余り満足感はなかった。

演奏会のあと数日して、先生から家に電話があった。特別賞に入賞したという。途端に、NHKのど自慢を想い出した。のど自慢では、特別賞は、高齢者が良くもらう。それだろうと思った。

所が、主催者である楽器店のホームページに名前が出ているから見てみろというので、早速見てみた。特別賞は、小生以外に10人くらいの人がもらっていた。老人特別賞ばかりではなかったことで嬉しくなる。

暫くして、有り難いことだと思うようになった。先生に感謝の気持ちが湧いてきた。
7級を取ったとき、この若い先生曰く「6級まで頑張りなさい。それ以上は、概ね、先生になろうという人の狙うレベルだから」と言う。

なら、あとひとつ6級まで頑張ってみようと思う。願わくは、古稀の祝いに6級が取れたらと念じる昨今である。