「キロキロ...」そして「ミシウエニ...」
2008/1/26

「キロキロとヘクトとデカけたメートルが、デシに追われてセンチミリミリ」という文句がある。

1000メートルは1キロメートル、10ミリリットル1デシリットルというな単位の変換のことである。

この文句、中学校時代に先生に教えてもらったものと記憶する。

先日、自分が主宰するクラブで、キロとかヘクトなどの単位の面白い覚え方として、これを紹介した。

多くの人が知っているものと思ったが、意外にも40名超居るメンバーの一人もこれを知らないという。共同主宰者の先輩だけが知っていた。

有名な文句と思いこんでいたが、そうでもないことに驚き、この話をカミさんにしてみた。矢張り、知らないという。

加えてカミさんの曰く、「それって、先生が言ったことを覚えていたのでしょう。先生の創作のものだったら、知らない人が多くて当然よ。ではあなたこれ知ってる?高校時代の先生に教えてもらったの」

「ミシウエニ オノレ ツチノト キコ シタニ、イワナカバニテ スデニ ヤムノミ」

「知らん、何だそれ?」と応えたら、漢字「巳」、「己」、「已」の形と読みかとを覚える文句だとのこと。

なるほどと納得したが、シとかとかヤムノミというのが分からなかった。そこでパソコンのかな漢字変換ソフトで、それぞれの漢字の読み方を調べてみた。

巳は、ミ シ
己は、オノレ ツチノト キ コ
已は、イ スデに ヤむ ノミ

とそれぞれ読みがあることが分かった。

字体もさることながら、すべての読みを含んでいることに痛く感心した。

念のため、インターネットでこの二つの文句を検索してみた。

「キロキロ...」は、矢張り、結構有名なもので、たくさんのホームページが見つかった。

因みに、最近、補助単位として、メガ ギガ テラ や マイクロ ナノ ピコというのも、見かけるようになったが、上記のホームページの方は、これを「キロキロ...」文句に付け加えて発表している。

てきめがけ、ヘクト出かけたメートルが弟子に見られてせんちミリミリ参ったな、ピコピコ

この方は、「デシに見られて」としているが、小生の覚えたものは、「追われて」である。 また、他にあるホームページも「追われて」の方が多い。

この方のホームページによると、この文句は、数学者 矢野健太郎の作だという。

矢野健太郎の原文が「見られて」「追われて」のどちらなのか分からないが、この方は、「矢野健太郎先生は、"キロキロとヘクト出かけたメートルが弟子に見られてせんちミリミリ"と記しています」と書いているので、もしかするとこちらが原文かも知れない。

矢野健太郎という数学者の名前は、中学・高校の数学の教科書に著者あるいは編纂者としてよく見た名前である。確か、東京工業大学の教授も務めたと記憶する。

我がクラブの共同主宰者たる先輩も、この大学の卒業故、あの文句を覚えて居られたのかなと言う気もする。

ところが、もう一つの「ミシ上に...」の方は、インターネット検索では見つからなかった。

それ故、却って、素晴らしいものを教えてもらった気がして、得した気分で居る。