ぼけたらあかん
2007/4/20

横井也有の老咏狂歌を想い出させてくれた友人が、もう一つ面白い詩を紹介してくれた。関西弁の詩で大変ユーモラスのものである。

ぼけたらあかん長生きしなはれ

大阪商人 天井新一郎(94歳)

  1.  年をとったら出しゃばらず
    憎まれ口に泣きごとに
    人のかげ口 愚痴いわず、
    他人のことは褒めなはれ
    聞かれりゃ教えてあげてでも
    知ってることも知らんふり
    いつでもアホでいるこっちゃ

  2.  勝ったらあかん負けなはれ
    いずれお世話になる身なら
    若いもんには花持たせ
    一歩さがってゆずるのが
    円満にいくコツですわ
    いつも感謝を忘れずに
    どんな時でもヘエおおきに

  3.  お金の欲は捨てなはれ
    なんぼゼニカネあっても
    死んだら持って行けまへん
    あの人はええ人やった
    そないに人から云われるよう
    生きているうちにバラまいて
    山ほど徳を積みなはれ

  4.  そやけどそれは表向き
    ほんまはゼニを離さずに
    死ぬまでしっかり持ってなはれ
    人にケチやと云われても
    お金があるから大事にし
    みんなべんちゃらいうてくれる
    内緒やげれどほんまだっせ

  5. 昔の事はみな忘れ
    自慢話はしなさんな
    わしらの時代はもう過ぎた
    なんぼ頑張り力んでも
    体がいうことききまへん
    あんたはえらい わしゃあかん
    そんな気持でおりなはれ

  6. わが子に孫に世間さま
    どなたからでも慕われる
    ええ年寄りになりなはれ
    ボケたらあかんそのために
    頭の洗濯生きがいに
    何か一つの趣味持って
    せいぜい長生きしなはれや

友人の知らせてくれた詩にある作詞者、「天井新一郎」とはどういう人かと思い、インターネット検索をしてみたが、何も見つからなかった。

ところが、先日、50余年ぶりに小・中学校の同級会に出席したが、その時配られた同期会名簿にこの詩が掲載されていた。

そこで改めて、「ぼけたらあかん長生きしなはれ」で検索したら、たくさんのデータが見つかった。この詩、かなり有名になっているようである。

CDまで出ている。どんな曲になっているのか聴いてみたい気がする。

友人からの詩には、作詞者「大阪商人 天井新一郎(94歳)」となっているが、インタネットのデータでは、「天牛将富」となっている。

どちらかは筆名と言うことであろうが、CDの広告では、「天牛将富」となっているから、こちらが、筆名か。

インターネット情報によると、この詩を作った人は、大阪の老舗古書店の親父さんだそうだ。

ともあれ愉快な詩である。特に4番が気に入った。