シャーベット酒
2005/8/29

 

晩酌は1年中ほぼ欠かしたことがない。


もっぱら日本酒。赤ワインも好きなのだが、毎晩という訳にはいかない。家族が集まったときなど、時折、赤ワインを楽しむ。

 

日本酒は、冬は熱燗、夏は冷酒である。冷酒は、カミさんが、ウィスキーのポケット瓶に入れ、冷蔵庫で冷やしてくれたものを楽しんでいる。多くの場合、酒は、瓶の中でシャーベットのように氷っている。

 

ところがごくたまに、氷って居らず、透明液体のまま出てくることがある。この状態の酒を、コップに注ぐと、シュワーっと霧がかかったようにコップの中で氷る。


しかし、氷の結晶が細かいので濁り酒のように、柔らかで、そのまま飲める。邪道かも知れぬが、何とも美味いのである。

要するに過冷却の状態になっており、それが、コップに注ぐことで、攪乱され、直ぐ凍結が始まるのだ。

ところが、この状態で冷蔵庫から出てくることはまれで、殆どの場合、瓶の中で、じゃりじゃりに氷っており、そのままでは、コップに注ぐのは難しく、箸などで、かき混ぜある程度細かくしないと注げない。

過冷却の状態で冷蔵庫から出てきたときは、嬉しくなる。コップに注ぎ、シュワーと氷っていく様は、実に美しい。そしてそれを飲む気分は最高である。


残念なのは、氷の結晶が細かいせいか、直ぐ、融けてしまうことである。霧のようなシャーベット酒を楽しめるのは最初のコップ一杯のみ、それも、ごくわずかな時間である。