「アインシュタインは相対性理論を横取りした」
2005/12/20

「アインシュタインは相対性理論を横取りした」と題する本を読んだ。

フランス人物理学者が、フランス人数学者/物理学者ポアンンカレの方がアインシュタインより論文発表が早いと論証しているものである。

愛国心に燃えた、我田引水的雰囲気を予想したが、そうではなく、両者の論文等を詳細に比較検討して、論証している。

小生が読んだいくつかの本でも、相対性理論は、アインシュタインが、殆ど独力で作ったとしているが、何とはなし、そんなことが可能なのだろうかと疑問に思っていた。

やはり、別の本で、インフレーション理論の提唱者、佐藤勝彦博士が、相対性理論は、そのような理解ができる状況が熟していたから、出てきたと言い、インフレーション理論も佐藤氏とアメリカのアラン・グース氏がほぼ同時にの独立に発表したが、そのような素地ができていたからだといっていた。これの方が本当らしく思うのである。

アインシュタインはポアンカレの論文を友人の誰かに見せられているが、何故か自分の論文でポアンカレのことは一切触れていないと言う。

というより、アインシュタインは、自己の論文に参照文献を一切載せてないという。こういう論文は現代であったら、受理されないだろうとのこと。アインシュタインは、全て自分が一人で考えたという姿勢を取りたかったのだろうか。

光の速さが光源の速度に関係せず、一定(約30万キロ/秒)であることを公準として、相対性理論を構築しているが、ポアンカレは、我々の宇宙がものの速度の最大限度を決めていることを数学的に証明しているという。つまり、光速を公準にする必要はないという。

翻訳者は原著者の主張を是認するのに、控えめな姿勢を取っているように感ずる。
矢張り、アインシュタインという神的存在には、まだ、畏れを禁じ得ないと言うことであろうか。