
前回、小生の夜間頻尿について報告しましたところ、アカナイ君、安谷屋君、gonegaga 君からも寄稿がありました。
要旨は以下の経験談です。
これら各位の寄稿を読み直したい場合は、下線付各位名をクリックして閲覧ください。
- サカタン :前立腺ガンの小線源療法 排尿痛を伴う夜間頻尿 投薬効果 対癌ホルモン療法の効果
- アカナイ :前立腺ガンの超音波療法 尿道カテーテル40日 昼夜の頻尿と排尿痛 膀胱結石除去 対癌ホルモン療法 放射線治療 夜間頻尿の自己訓練による緩和 対癌ホルモン療法(今後)
- 安谷屋 :膀胱から腎臓へ尿逆流との診断 尿道カテーテルの長期間継続 膀胱結石除去 漢方薬の試用
- gonegaga :頻尿歴約30年 前立腺肥大なし 過活動膀胱 昼間の方が頻尿 間隔の長短は場面にもよる 各種の投薬効果なし

他のメンバーからの寄稿はまだありませんが、web上で拾った下記の資料をザット読んでの所感を、以下に書いてみます。実際には極めて広範囲かつ奥の深い情報源ですが、関心の向いたところだけの拾い読みです。
男性の排尿トラブルは前立腺肥大によるものが多い。下部尿路(膀胱以降)の狭窄による排尿障害だけでなく、膀胱を刺激するので、夜間頻尿だけでなく、過活動膀胱・切迫尿(尿意が我慢できずに漏れる)の原因にもなる。
したがって、排尿トラブルの診断は、先ず前立腺肥大の有無の区分から始まる。前立腺肥大は80歳台では90%に達するという。(⑥に図あり) なお、過活動膀胱は頻尿の主要な原因なので、両者を全く別物として考えるのは難しい。男性の排尿トラブルに対して、劇的効果はないがノーリスクの優先対策は行動療法(生活指導)である。
頻尿には、飲水量調整(脱水症状には注意)、アルコール、カフェインの制限が有効であり、運動療法(夕方のウォーキングなど)、昼間の弾性ストッキングの使用などは夜間頻尿に有効とある。
規則的な排尿、尿意の暫時我慢(徐々に時間が長くなる)のような排尿習慣づけも効果がある。アカナイ君の尿意我慢による頻尿抑制効果はこれに相当する立派な療法である。
肥満は過活動膀胱の原因として、水分摂取過大、コーヒー、アルコールなどに劣らぬ因子であるという。
前立腺の緊張を緩め排尿をスムーズにする目的で多様な薬物が候補に挙がるが、推奨ランクの高いのは、サカタンが一時経験したユリーフ(一般名:シロドシン)を含む、α1アドレナリン受容体遮断薬(α1遮断薬)3種である。ただし、肝臓に負担がかかることに注意。
八味地黄丸などの生薬系、ノコギリヤシなどのサプリメントの効果は明確でないらしい。安谷屋君の試用中の漢方薬は清心蓮子飲、猪苓湯とのこと。排尿をスムーズにする効果があるという。
前立腺癌治療で使われている抗男性ホルモンは排尿障害の軽減効果も現に大きいが、癌を伴わない場合には選択肢に挙がっていない。
行動療法、薬物療法が効果がない場合の前立腺の摘出は、前立腺肥大の根治策ではあるが、肉体的負担が大きく後遺症も出やすい。
これよりも、尿道から内視鏡を入れて電気メスやレーザーで尿路を削り拡げる低侵襲な手術が一般的である。摘出は14~20日のところ、内視鏡手術は数日の入院(外国では日帰りもある)で済む。
ステントは推奨されていない。アカナイ君が前立腺癌の治療で経験した尿道非経由(外部から)の高密度焦点式超音波治療は、非癌の前立腺肥大に対しても行われたことはあるが、事後に別の施術を要する場合が多く、最近は行われていない。同君の説明と合致するが、前立腺癌の治療法には掲載されていない。
長期間の尿道カテーテル留置は、特別な場合以外は避けるべきと書かれている。結石や感染症その他の危険があるだけでなく、QOL(生活の質)を損なうからである。
特別な場合とは、自力で排尿できない寝たきり等の場合と膀胱容量が50ml以下と極めて減少した状態(萎縮膀胱)の場合の2つのケースしか見当たらなかった。水腎症(腎臓―膀胱の逆流で腎臓に尿が溜まる)でも長期の尿路カテーテル留置は採用しないように読める。安谷屋君の場合は、主治医、地区の基幹病院、大学病院とも支持した特殊なケースであろう。
転移を伴わない初期の前立腺癌の治療は、負担大で後遺症も出やすい外科的摘出から、放射線療法プラス抗男性ホルモン併用の方に評価が高くなっていると感じる。再発や転移では同ホルモン療法が広く用いられる。
前立腺癌は進行が遅いのが特徴で、その速度も差がある。したがって、PSAが高い高齢者には余命も考慮した上での経過観察も正当な治療方針となる。ラテント癌(生前には症状が認められず、死後に解剖で初めて見つかる癌)は、前立腺癌の場合、 80歳台で30~40%と言われている。
過活動膀胱は 80歳台では40%近い有症率である。(①⑤に図あり)前立腺肥大に関係するものと、前立腺肥大はない場合とがある。gonegaga 君は後者とのこと。
薬物療法は、膀胱の筋肉を緩め尿路を締めて尿を溜まりやすくするβ3受容体作動薬、副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑える抗コリン薬などが挙げられているが、有効打になりにくいらしい。過活動膀胱は原因が多様で、精神・神経系の要素も大きいからかも知れない。
gonegaga君の聞いた「女性には効きやすいが、男性には効きにくい」というのは、性ホルモンの影響か?逆説的だが、「気にしない」というのも、精神面からの有効な対処法になるとの記述もあった。

以上については、偏りや誤解の可能性も大です。症状が気になれば、なるべく専門医に相談してください。
排尿障害は我々高齢者には付き物ですが、フレイルが進行すれば、筋力や精神・神経系の衰えで、頻尿や切迫尿の悩みどころか、トイレまで行けない、尿の垂れ流しなど、更に深刻な事態が待っています。
それを遅らせるべく、お互いにフレイル防止に努力しましょう。運動と栄養、脳の活動が重要と思います。小生、個人的には、衰えつつある腎臓機能が透析まで何年もつかが最大の懸念事項です。
それに関係して、各種の検査値に若者並みの標準値ではなく、余命の短い高齢者なりの目安が欲しいと思います。それがあれば、食物の制限など、あれこれ考えずに割り切れます。言い換えれば、高齢者の余命の推定にも繋がるでしょう。
【参考情報】
なお、参考情報の①~⑦は一般向け、その他は医療関係者向けの資料です。
① こんな症状があったら 日本泌尿器科学会
②講演「男女ともに見られる尿漏れ、頻尿」 室田卓之(関西医科大学附属滝井病院泌尿器科部長)
③男性の頻尿(過活動膀胱/前立腺肥大症) 大正製薬
④夜間頻尿com. 医療法人エム・ティー・エヌ 北海道泌尿器科記念病院 理事・院長 柿崎 秀宏
⑦前立腺肥大症の治療 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社
⑧男性下部尿路症状・前立腺肥大症 診療ガイドライン日本泌尿器科学会
⑨夜間頻尿診療ガイドライン 日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会
⑩過活動膀胱診療ガイドライン 日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会
⑪前立腺癌診療ガイドライン 日本癌治療学会
⑫排尿管理マニュアル 名古屋大学⑬上部尿路閉鎖・腎後性腎不全 日本緩和医療学会