いまどきの若者

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いまどきの若者

工藤 喜弘

[1] 応用生命システム工学科で化学情報、遺伝情報の処理を扱い、ここ数年は物質化学工学科の情報処理概論の講義も担当している。そこでは信号・情報の理解が発信側と受信側とで異なるのを防ぐのに重要な情報同族体(Informational homologue)の概念の刷り込みから始める。

講義の効果を狙ってまず化学者の悪口を言う。たとえ話で言うと、「3より大きいある整数xを求めよ」という問題に対してたいていの化学者は「x=4」を想定し、それが間違いであることが分かると「x=5」と修正し、根拠は「条件を満足するから」の由。さいわいにもそういう方法論の結果が誤りとなって顕れるのは年間に数百件程度に過ぎないが、それに立脚した不運な人たちが数年後に足元をすくわれている。

[2] 
それを気付かせるために例年、学生に出題する2種類の問題を挙げる(回答を試みられよ)

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1.何人立っているかイメージを描け(薫、清美は人名である)...例 花子 1人

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問題1−1 薫、 
問題1−2 清美  
問題1−3 薫と清美  
問題1−4 薫と清美の先生

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2.設定:三つの都市がある 仙台、塩釜、東京 
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距離  塩釜-- 20 km-- 仙台--380 km--東京-- 400 km--塩釜

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下記の文が正しければ前に、誤りであれば後ろに×をつけよ。

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問題文2−1        東京は塩釜より仙台に近い
問題文2−2  
     東京は仙台より塩釜に近い
問題文2−3  
     塩釜は仙台より東京に近い
問題文2−4  
     塩釜は東京より仙台に近い
問題文2−5  
     仙台は塩釜より東京に近い 
問題文2−6  
     仙台は東京より塩釜に近い

[3] 小生の回答例
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1.1−1 薫1人;   1−2 清美1人; 1−3 薫と清美2人;1−4 薫と清美の先生  1人あるいは2人

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2 A Bより C に近い:    AC<AB;            AC<BC 

文章 説明
AC<AB AC<BC
東京は塩釜より仙台に近い× 東京仙台<東京塩釜   東京仙台<塩釜仙台×
東京は仙台より塩釜に近い× 東京塩釜<東京仙台× 東京塩釜<仙台塩釜×
塩釜は仙台より東京に近い× 塩釜東京<塩釜仙台× 塩釜東京<仙台東京×
塩釜は東京より仙台に近い 塩釜仙台<塩釜東京 塩釜仙台<東京仙台
仙台は塩釜より東京に近い× 仙台東京<仙台塩釜× 仙台東京<塩釜東京
仙台は東京より塩釜に近い  仙台塩釜<仙台東京 仙台塩釜<東京塩釜

[4] いまどきの若者の反応

1−4(1人あるいは2人)に対して学生から「待った」がかかった。日本語の先生は1人でも2人でも3人でも何人でもよい筈、というのである。(参りました)

2の問題に対しては○が4件、×が4件である。すなわち同時に○と×がつくのが2件ある。自分の理解ではこういう場合先に○を、そして○だけを思い付き、普通はそれ以上進まず、×も正解であることに気づきにくい。ところが先日、研究室見学にきた5人の男女高校生にこの質問をしたら例外なく×を先に気づき、そして○も気付いたのであった。(固定観念は間違いの元)

やっぱり若者はいまも昔も頭が柔軟だ!