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金子忠次 ―モーツァルトの「魔笛」―
残りの7つはその時々によって、その時の気分によっていろいろ変わりそうだが、モーツァルトのこの3つのオペラが常にベスト10に入ること間違いないと思う。
「魔笛」について書いてみる。ストーリーは簡単にいうと、夜の女王という悪い女がいてその娘パミーナがザラストロという悪玉か善玉かわからん男に囚われている、これを王子タミーノが助けに行き、めでたく救い出して二人は一緒になる、というものである。
話は単純なのであるがスジがメチャクチャなのだ。(もっとも台本はシカネーダーという台本作者が書いたものであるから、モーツァルトに”責任”はないのだ!)
小椋佳のうたを聞くとしみじみと共感するものがある、と同じようにモーツァルトの音楽を聞くときもなるほど、人生ってのはねえ・・・という共感、共鳴が胸のうちに沸いてくるのである。
いくら早熟の天才と言ってもである。私などはこの歳になっても”人生とは?”などと問われたら考えるのも面倒になって、すぐにお酒の世界に飛び込んでしまう。
今回「魔笛」はフォルクスオーパーで見た。こちらはオペレッタが主体の劇場であるがモーツァルトのオペラはここでもかなり上演されるようである。国立歌劇場に比べてこちらはやや庶民的雰囲気があり親しみやすい。歌手の年齢も平均的に若いようで、今回の「魔笛」も若々しい気分にあふれた舞台だった。
今回の歌手も若くて歌は上手だったが、人生の機微を歌うには少しトシが足りなかったように思う。古いCDのワルター・ベリーがいい。
現地の日本人ガイドの話によると、これは「魔笛」を小学生に見せるイベントで、この日(昼間)だけ国立歌劇場を子供達に開放するのだそうだ。このような催しは時々あるらしい。
素晴らしいことだ。ウィーンの子供たちは幸せだよ、マッタク。 フォルクスオーパーの「魔笛」にもそんな意味合いがあったのかもしれない。
音楽は変えるはずがないから、演出で多少子供向きにしているのだろうか。ダイジェスト版のするのだろうか。 ここは是非子供達と一緒に舞台を見たかった〜。
モーツァルトは「フリーメーソン」の活動にもかなり積極的に参加し、会のためにたくさんの曲も書いている。 このことを考えると、モーツァルトは単にいたずら好きのやんちゃな若者ではなく、すごく生真面目な側面があったように思う。映画「アマデウス」の中のモーツァルトは実像とかけ離れているのではないか、とふと思った。 |