敦煌・西安・北京遺跡巡り

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『敦煌・西安・北京遺跡巡り』

金井孜夫

昨年11月に、それまで同居していた実母を享年88歳で見送り、嫁として頑張ってくれた愚妻に、今度は旦那をよろしくとゴマを摺るために、この5月に夫婦で全日空のハロー・ツアーに参加した。

中国本土の旅は初めてである。参加者は、郡山の床屋さんのご隠居夫妻とそのご子息夫婦に当方の計6名。旅程は、北京1泊〜敦煌3泊〜西安1泊〜北京2泊の計78日で、ホテルは、敦煌が三ツ星、西安・北京は五ツ星でゆっくり出来、熟年にはありがたかった。

見所は、敦煌の「莫高窟」・「西千仏洞」、西安の「兵馬俑坑」、万里の長城<中央部の北京「慕田峪(ホデンヨク)長城」と西方端の敦煌「漢代長城」>など。いずれにも中国の歴史の深さ・重みを感じた。なお、5月中旬は、北京で最高気温40℃。ただし、空気は乾いていて、木陰は心地よかった。

    

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見分録(順不同)
 
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東京―北京は3時間のフライトであるが、敦煌は、北京から更に4時間のフライトを要する奥地。井上靖の文と平山郁夫の絵で有名な所。ゴビの砂漠の西南で、詩人王維が“西のかなた陽関を出づれば故人なからん”と詠った場所。ここを通過するシルク・ロードは、今日では、軍の移動のためアスファルト舗装となっている。印象に残ったのは、これに添って“光ファイバー”が走っていたことである。携帯電話の普及率は、なんと敦煌地区で90%の由。日本のIT遅れが心配になった
 

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トイレは、予備知識程ひどくなく、すべて屋内設置であった。ただし、敦煌では、個別のドアはなく、しかも前向きにて、当事者と順番待ちが見詰め合う形となる点、いささかやりにくかった。
 

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中国の寺院などは、立派ではあるが、大きすぎて小生の感動を惹起しなかった。
 

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現地のガイドは、つごう若手3名が付いてくれたが、まじめで、かつ日中の恥部に関してはさらりとかわしていて、やはり大人の国だなと感じた。
 

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京劇は、素晴らしい芸術である。シンプルに楽しい。
 

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ツアーで用意された中華料理は、現地の味ではあろうが、日本的中華に慣らされた小生にとっては、少々重かった。ウィンドウに並べてあるパックの素材を自分で選んで、それを料理してもらうスタイルの、北京で食した上海料理が最高であった。
 

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ツアーの場合、昼食時の物売りがわずらわしい。レストラン専属の、日本語が達者な売り子(概ね女性)が、食事の接待をしながら、お茶、茶器、土地の名産品等を客に薦める。対策は、買わないのなら無視する位か。
 

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一般に土産品に関しては、3割位は値切られる様に値段が設定されている由。同行の経験者によると、損得より、値切りの行為そのものを楽しむ気持ちが大切らしい。高ければ買わなければよいのだから。まず、1品について、4割程度の値段を提示し、ゴチャゴチャ言いながら、最後に買う数を増やして、希望の値段に落とす。
 

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中国に住んでいたことのある同行のご隠居は、言い値が日本円4万円の猫目石の仏像を1万円で買っていた(最後の値決めはバスの中、出発間際になされた)。
 

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感覚的に見て、同一品目の値段は地方程高い。敦煌で半値位に値切って、意気揚揚と北京に来てみると、それより安値で出ていたりする。経験的には、北京の一流ホテルの売店の値段が、商品の質とのバランスにおいて、一番安いようである。
 

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もっとも、北京郊外のスーパー・マーケットがベストではあるが(今回、訪れる機会があった。品数も値段も、アメリカのアウトレットに匹敵するほど充実していた)。ちなみに、小生はこう言った交渉は不得手で、概ね先方の言い値で買わされて帰って来た。
 

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中国の人は、なぜああも声が大きいのだろう。女性も、である。多分、自己主張が必要なのだろう。北京の天壇公園等では、夕方になると多くの市民が集まってきて、あちらこちらで大合唱のコーラスの練習が始まる。小生には、自己主張の練習のように見えた。
 

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敦煌で、足裏マッサージを受けた。1部屋45人がまとまって、若い女性がやってくれる。いささか機械的。1時間、3,000円。観光客プライスのようだ。値段は別にして、日本の方がやさしく、丁寧である。
 

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自転車は、聞いていたより少なかった。代わって、自動車の多さが目立った。
 

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北京、西安は建築ラッシュ。オリンピックを視野に入れているとか。住居が潰され、広い立派な道路がドンドン整備されているのを目の当りにすると、日本の道路整備の悠長さが気になった。 
 

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旅のアドバイス
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日本円はどこでも通用する。元への換金は、中国でしかできないが、小物を買うとき以外、ほとんど必要としない。日本の1,000円札を多めに持って行ったほうがよい。70元位であるが、100元(約1,300円)の物を値切るのにちょうど良い。
 

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洞窟内の遺跡を見る時など、懐中電灯が必要であるが、持って行くなら、強力なのが良い。ほんのり明るい程度では、役に立たない。
 

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電気かみそり、電気ポット等を持って行く場合には、ソケットの形、電圧(200V)などの対策が必要である。
 

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水道水は飲めない。ペット・ボトル入りの水を購入して、持ち歩くこととなる。
 

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国内の航空便は、よく遅れる。半日遅れは、日常らしい。そのつもりで、ゆったり構えていること、肝要。軽食は常備していると、助かる。ベテランは、即席ラーメンを持っていて、空港の売店でお湯をもらい、食していた。
 

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なぜ、遺跡巡りか?
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人間を含む生物は、DNA支配によって、学習ないし感動する対象が個々に異なると言われている。例えば、蜜蜂は、花の“形”には関心ないが、蜜の多い花を“色”で学習し、また、鳥は逆に“色”は覚えないが、外敵の猛禽と無害の鳩や飛行機を“形”で区別していることが知られている(鳥が激突するのを防ぐため、窓にハヤブサの黒い切り絵を貼るのは、その例)。

これと同じように、小生の感動DNAは、古い人工物、それも滅亡途上にある遺跡に強く反応するようである。かなり“退廃的なDNA”ではある。学生時代の実体験としては、芭蕉作“夏草やつわものどもが夢のあと”の平泉・毛越寺を訪れた時、その何もない廃墟に茫然、かつ恍惚となったものである。

凍っている文明、失われ往く文明に惹かれる“老人趣味”に摂りつかれたのは、それ以来である。マヤ、ギリシャ、イタリア、マルタ、トルコ、タイなど、巡った所はまだ少ないが、これからもう少し頑張ってみようかと思っている。体力のある内に遠方に行き、最後は箱根の関所巡りと温泉にするつもりである。 
 

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反省点
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中国の歴史を頭に入れて行くべきであった。湘南地区才萩会の月例会「三水会」で、世界史で受験したと言う笹林君や酒井君に、中国の時代考証をトクトクと解説され、人文地理受験で浅学の小生は只々脱帽するばかりであった。