表題
shin_ichi

皆さんには、昨年秋に開催された、斎藤正三郎先生を囲む会に、私が参加した時の様子を紹介させていただきましたが、先日、この会の幹事役の長尾教授を訪ねて約1時間、卒業から半世紀を過ぎた、最近の東北大の化学系の状況、内容、学生気質等、今昔物語をお聞きしてきましたので、ご紹介しましょう。

長尾教授は平成7年、斎藤研最後の卒業生のお一人で、現在は当時の化学工学系の流れをくむ、微粒子工学系の教授を勤められております。

現在の化学系の学部学生は1学年あたり約110名で、我々の時と違い、5系(機械、電気、化学、材料、人間環境の各系)から一つ選択をしてから入学するそうです。

川内キャンパス
川内キャンパス
Wikipedia「東北大学」より借用

そして、2年までは全学教育(昔の教養学部)として川内キャンパスで基礎を勉強し、3年以降は青葉山キャンパスで専門科目を勉強します。

化学系であれば、4年時に多元物質科学研究所(以前の非水研)を含む約30の講座の研究室に配属され、専門の講座を学ぶそうです。

そして、殆どの学生は大学院まで進む、と聞いて、我々の時代とは正反対になったと思いました。

当時、研修という講座があり、外国の論文を一つ探して、それを翻訳し、大講義室で、大きな紙に、趣旨を書いて、みんなの前で紹介・発表する講義がありましたね。

ところが、多くの仲間がそれをさぼって、加藤先生に大目玉を食らい、再研修という、罰を言い渡されたことを覚えていますが、実は私もその一人だったからです。

その講義が今でもある、と聞きましたが、当時と違う事は、今の学生はグーグル検索などを利用して、訳しているそうで、我々時代の、辞書を引きながら、というスタイルから様変わりしたとか、半世紀の変わりようなのですね。

また、当時は化学天秤で、大きな針の左右の振れのメモリを紙に書いて、ミリグラム単位まで量ったことが思い出されますが、もちろん今はデジタル秤だそうで、当時の計算尺と同様、我々の使った機器の名前がもう死語に近い時代になったのか、と寂しい気持ちになりました。

長尾教授は、毎年、仙台を始め、今年は北関東迄足を延ばして、高校に出張授業に出かけ、化学系の勉強内容を説明しながら、学生集めにも努力されているそうです。 

化学系は、他の機械や電気系に比べ、あまり目立たない、基礎的な内容となりがちのため、高校生諸君に、どういうことを研究しているかを説明されているとか、優秀な学生が我々の後輩として伝統を引き継いでもらうための努力もされておられる、と聞いて安心しました。

今の学生さんは、以前に比べると、教えてもらって当然、という雰囲気が強くなってきている、のは残念で、ある意味では、もう少し、大人になってほしい、というお話をされて、やはり少子時代で、競争時代がやや鈍化したのかなあ、なんて感じた次第です。

でも、フィルターにかかった、優秀な学生さんが、また今年ももうすぐ入学してくるでしょうから、それに期待しながら、長尾教授のさらなるご活躍を祈念して、地下鉄青葉山駅に向いました。

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