俗に風船治療というが、正式にはPTCA(Perucutaneous Transluminal Coronary
Angioplasty)経皮的冠状動脈形成術といい、25年もの歴史を持つ治療法である。
私は、02年2月にこの風船施術を入院3泊4日で受けた。医療現場の技術の向上であろうか、カテーテル挿入は今度は上腕動脈を使って行われた。風船治療の基本はカテーテル検査と同じであるが、ガイドワイヤーで導入したしぼんだ状態の風船を狭窄部に導入して圧力をかけて膨らませ、冠状動脈の内腔を拡張する。この時、最近ではステントと称する金属製の網の筒を拡張部に支えに入れることがあり(しぼんだ状態で挿入し後で拡張)、私の場合は直径3ミリ、長さ9ミリのステントを入れたそうだ。
このPTCAのリスクは高く、単なるカテーテル検査時の約10倍のリスクがあり、統計的には200例に1例程度の死亡事故が起こっているとの説明があり、私自身正直ビビッタし、家内はこれを聞いて気を失いかけた。
頼りは、この病院(松下記念病院)では、過去3カ年に800例ほどの治療例があるが死亡事故はない、という実績と担当主治医への信頼であった。手術は40分ほどで終了した。手術中は、カテーテル挿入部のみの局所痲酔のため、意識はある。
手術後1昼夜は監視のため集中治療室入れられた。このPTCAだが、実は完全ではない。と言うのは、折角狭窄部を拡張しても、数週間から数カ月の間に約30%の症例で再狭窄が起こっているのである。ステントを入れても完全には防げないということだ。
と言うわけで、風船治療の6ヵ月後の8月下旬、確認のためのカテーテル検査を受けた。カテーテル検査はこれで三度目である。幸いなことに、再狭窄は起こっておらず、風船治療は成功したことが確認された。ただ、もう1カ所の狭窄はやや進行しており、1、2年後のカテーテル検査を予告された。それまでは(いや恐らく生涯)、従来通り薬による治療が続く。今のところ、発作はほとんど起きていない。日常生活上の問題もない。