表題
サカタン

今日は5月4日、緊急事態宣言が月末まで延長されるとのことである。

隠居で世間と関係が薄く蟄居も苦にならない身の上ながら、近親者の現況を見ても早く終息することを願うばかり。しかし、当分はコロナの脅威と同居は避けられまいと思う。

マスク

そこでマスクのことだが、3月に田舎住いの明善寮仲間からメールが来て、マスクを買求める行列への批判があった。

曰く「マスク着用はコロナ感染には何の防護策にもなっていない。コロナウイルス患者を診ていた医者が何人も感染しているではないか。WHOもマスクは有効ではない、密集した人混みには近寄らず、手洗いをその都度充分に行うことが大切だと言っている。ウイルスを伝染させないエチケットとしてはいいかな。」

次に目についたのは「アベノマスク」である。

ガーゼマスクはスカスカという印象がある。周りの閣僚たちは不織布のマスクをしている。首相に小さなスカスカマスクをさせておいて、誰も助言しないのかね、助言しても聞かないのかね、まさに裸の王様だな、と思った。

これが全戸に配付されることになったが、多方面から批判もあるようだ。

現時点で見渡すと、ひとり離れて作業している人まで、世の中マスクをした人ばかりで、人通りの少ない郊外の道をマスクなしで歩くにも、すれ違う人の咎めだての視線を感じる。

かつて「冬場になると一斉にマスクを着ける不思議な日本人」と言っていたと聞く欧米人もマスクを着けるようになった。義務化している国もどんどん増えてきている。

手作りか市販品か、多様な布製マスクも目立って来た。映像で見る外国の女性には、マスクと衣服の色を合わせたりとか、ファッションの一角を占めつつあるようにも思われる。

WHOは感染者を扱う医療従事者にはN95(USNIOSH)相当の認定マスクを推奨している。

一方、サージカルマスクは医療従事者から患者への雑菌の感染の防止と処置時に飛び散る患者の体液の付着を防止するもので、COVID-19から医療従事者を保護するものではないという立場である。

サージカルマスクは一般に市販されているプリーツをつけた平面状の不織布マスクと同型であり、アメリカでは認定制度があるが日本にはないので、日本ではサージカルマスクとは単にあの形状のマスクを指しているだけという場合もあるらしい。

しかし、アメリカでの認定取得品を販売している事業者もあるから即断はできない。

ところで、手許にある不織布製マスクを見たら3種あった。どれにもサージカルマスクとは書いてない。売り文句には、どれにも○○99%カットと表示されている。

(○○とは、花粉、ほこり、ウイルス飛沫、PM2.5など、書き方は様々)

表示によれば、その根拠はASTMの濾過効率試験であるが、方法はBFE(細菌)、VFE(ウイルス)、PFE(微粒子)の単独または併用で三者三様である。試験機関の記載があったのは1種だけであった。

これらは不織布の性能であって、仕立てられたマスクでは、顔との間の隙間からの漏れがかなりある筈だから、この性能が確保される保証はない。

最近出回りだした多様な非不織布製等のマスクは、試験を経ていないだけに、上記の不織布マスクより素材の濾過性能は、概ね劣ることになるのであろう。

しかし、形状なども工夫されているので、顔へのフィット性つまり漏れにくいかどうかも考えれば、一概に優劣はつけられないと思う。

ここで、アベノマスクの狙う効果を考えてみたい。

厚生労働省のサイトには、質問に応えて次のように書かれている。

  1. せきやくしゃみなどの飛散を防ぐ効果があることや、手指を口や鼻に触れるのを防ぐことから、感染拡大を防止する効果。
  2. マスクの着用により、喉・鼻などの呼吸器を湿潤させることで風邪等に罹患しにくくなる効果。
  3. 洗濯することで繰り返し利用することができるため、店頭でマスクが手に入らないこと

に対する国民の皆様の不安の解消や、増加しているマスク需要の抑制により、医療機関や高齢者施設などマスクの着用が不可欠な方々にしっかり必要な量を届けるという効果。

なるほどと納得できる。流石、首相の深謀遠慮と改めて感心した。

ここには、気中に浮遊しているエアロゾルに対する感染防止効果は書かれていないが、N95相当品を除いた他のマスクでも期待が無理な性能だから、これを以てアベノマスクを貶す理由にはならない。

アベノマスクのもたらした効果はまだある。

個人の手作りを含む「洗浄再使用可能なマスク」の製作熱に火をつけたことだと思う。首相のマスク姿を見た人たちが、「あれよりもっとマシなものを作ってみせる」と考えたのであろう。百花繚乱の如く多様なマスクが生まれつつある。

欧米のマスク義務化の流れも興味深い。マスクを犯罪防止のために禁止していたが臨時に緩めることにしたという国もあるとのことで驚かされる。

このような流れをつくったのは、欧米の爆発的な感染拡大とマスク着用が日常化している東アジア諸国の感染状況との際立った対比を目にしての発想転換であろう。

WHOは、最近若干融通のきいた記述にはなったが、相変わらず公衆のマスク着用を積極的に進めようとする姿勢は見えない。

コロナウィルス電子顕微鏡写真

(Wikipediaより)

COVID-19の感染径路は、接触感染、飛沫感染、エアロゾル感染と言われている。

エアロゾルは室内空気中を浮遊するが、その微小粒径領域の粒子が、分岐しながら複数の一般病室に繋がっている空調系を通じて、院内感染の原因になっていることはないか。

ドアノブや手摺などに付着したウイルスが3日間も失活しないと聞いているが、空調系での存在ゼロを確認したという情報が見当たらない。

コロナウィルスの構造

コロナウィルスの構造(Wikipediaより)

マスクが不得意とする微小粒径領域であるから素人ながら気になる。

実は、私は市販の使い捨ての不織布マスクを、使用の都度、消毒用洗剤で揉まないようにして洗って乾燥してからアルコール消毒して何回も繰り返し使用している。

感覚上の吸気抵抗は減っていないから、濾過性能は落ちていないと思われる。

洗ったり、アルコール消毒をすれば、静電処理が消えるという警告をしている事業者もあるが、気にしてない。自分からの飛沫発散防止と他人からの大粒径の飛沫防止がマスクの役目と割り切っているからである。

さらに言えば、私の場合、外出はウォーキングが殆どであるから、すれ違う人からの「エチケット違反」と言わんばかりの睨まれ防止が着用の主目的になってきている。呵々

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