表題
サカタン

難聴者

「なんちょって」とは何でちょ?と思われるでしょう。私の造語で「難聴背負って(しょって)」の変形版。

難聴だからといってくよくよせずに受け流して暮らしましょうという、自分向けの軟体動物的表現です。

最近、中途失聴・難聴者、つまり人生の中途で失聴難聴になった人たちの団体に入ったり出たりしています。

この人たちの大半は身体障害者に認定されており、認定外の私などは最もよく聴こえる部類です。

この社会のメンバー同士では筆談が主なコミニュケーション手段です。集会などでは「要約筆記」や「パソコン通訳(スクリーンを使う)」の有資格者が、依頼により公的費用で派遣されてきます。

このような環境に「音声認識技術」の恩恵が浸透しつつあります。

先ず、スマホを使って自分の話を相手に文字に変換して示すことが普及し始めています。

次に、今年の3月からNTTドコモが「みえる電話」の無料サービスを始めました。電話の相手の声がスマホに文字で示されるというものです。勿論、相手に対しては声で応答できます。

パソコンを使った難聴者だけで可能な会議システムの試用も難聴者団体で始まっています。

迂闊ながら、気がついてみれば「音声認識技術」はとっくに実用化されていて、私の10年前の旧式パソコンでも音声入力で文章が打てたり、情報検索ができるようになっています。

先進的な「もの書き」たちは、これを利用してパソコンに音声入力し、必要な修正をキーボードで行なうという方法で、指に負担をかけず、スピードも稼いでいるとのことです。

医者も診察時にパソコンに音声入力する時代になってきているようです。話し方によっては誤訳も生じますが、自分の発音癖・語彙に合わせて「飼い慣らす」システムがあります。

私は難聴だから携帯電話は聴きとれない、と敬遠していましたが、最近になってアンドロイドの格安スマホを購入して音声認識を使い始めました。初期投資2万円、ランニングコスト(通話付き)1600円/月です。

購入時に搭載されているソフトもあり、無料でダウンロードできるソフトも幾つもあります。

私のスマホには、「UDトーク」「こえとら」「スピーチノート」「Speech Canvas」「Keepメモ」「googleドキュメント」と音声入力できるソフトのアイコンがずらり並んでいます。外国語に対応しているものもあります。

このうちの幾つかは指先で文字や絵が書けるようにもなっていて臨機応変に使えます。

使い始めての感想ですが、明瞭に発音すれば日常会話はかなり正確に文字化されますので、自分が難聴者に話しかけるのには便利です。

しかし、自分のために相手に使ってもらうには、口元近くで丁寧に話してもらうという頼み事になるので、遠慮勝ちになります。

「さんすい会」にはパソコンを持ち込んでみていますが、離れた位置からの声は正確に拾わないので、マイクを廻してもらわないと殆ど役に立ちません。古文書の勉強会では講師の前にマイクを据えていますが、もごもご喋る人なので誤訳のオンパレードです。

補聴器

話変わって「補聴器」のことです。補聴器がろくに役に立たないとの不信感で、補聴器屋での調整にも数年行ってなかったのですが、昨年思い立って行ってみました。

調整の効果あり、と思えたのは「強い音は強く、弱い音は弱く」したことです。これによって、反響音による邪魔が気になりにくくなった、正面からの声が聴き取りやすくなったという感じがしています。

耳の性能が悪いですから、飛躍的に聴き取れるようになったということではありません。

高価なので簡単には買換えられませんが、補聴器もAI搭載、磁気ループ式など、年々進歩しています。

次は「人工内耳」についてです。難聴者仲間のうち人工内耳をつけている人が1/3位はいるようです。しかも、その人たちは「難聴者らしからぬ聴力」と見受けました。人工内耳装着前は私なんかの及ばない高度難聴だった人たちばかりです。その普及ぶりに吃驚しているところです。

以上、皆さんの廻りにも難聴者がいるのかもしれませんので、紹介する次第です。

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