表題
サカタン

昨年に続いてハリー老が、国画会第92回国展の「版画部」に入選されました。大阪府では唯一人です。もう何回目の入選になりますか、凄いことだと思います。

本人からあるかと待っていたのですが、発表がありませんので、勝手乍ら小生が紹介にしゃしゃり出ました次第です。

ハリー老作品展示スポット

ハリー老作品展示のスポット

六本木の国立新美術館には800点余りの作品が展示されておりました。

点数で約半分を占め、かつ大画面の作品が多い絵画部が1、2階を殆ど占領し、その間に彫刻部と写真部の展示室が挟まっていました。目指す彫刻部は工芸部と共に3階の一部での展示でした。

小生は1階から番号順に見てゆくこと2時間、漸く彫刻部に辿りつきました。

今年は気のせいか具象系・地味系が若干増えたようにも感じましたが、絵画の奇抜さ・けばけばしさには門外漢の神経はかなり疲れます。

殆どモノクロームな彫刻でやや平静を取戻しますが、写真も最早「写生」の「写」のみではなく、「光学機器を介した造形」であれば何でもあり、版画も「紙面への転写による造形」なら何でもありで絵画とかなり似た印象です。

国展入選版画「若い神子畑ー今」

ハリー老国展入選版画「若い神子畑ー今」
ハリー老提供

しかし、版画部の後半部分に展示されたハリー老の作品は別格でした。素人の言葉知らずの平凡な表現で恐縮ですが、「派手さ奇抜さ抜きであるからこそ強く心を捉える渋い作品」でした。

題は「若い神子畑 今」。かつて栄えた神子畑選鉱所がコンクリート基礎部分を残して取り壊され崩壊に向かいつつある姿を、愛惜をもって描いたものと思われます。

現存する構築物は、まだ面・角ともシャープな形状を保っているようですが、ハリー老は心中にその行末を見たのでしょう。朧に浮かんだその姿は、角は削れ、面は荒れ、ところにより色調を変えてくすんでいます。

譬えて言えば、過去の活力や栄光を超越した古仏の如き尊厳さを感じさせるその佇まいで、モチーフを選び作品の完成へと発酵させていったハリー老の胸中があれこれと想像されます。

展覧会場での撮影はご法度と思っていたのですが、禁止の表示があった写真部以外では撮っている人が多かったので、ハリー老の作品と周辺だけカメラに収めました。

作品の写真は軽率に扱えませんので、老公の承認か差替えを経て掲載されることを願います。老公のコメントと併載していただければなお有難いところです。

contents