先日は、才萩会・卒業40周年記念の集いのご案内のメールを頂きましてありがとうございました。スケジュールを眺めながら、「秋保温泉か・・・いいなあ・・・」と、参加できないのを残念に思っているところです
10月半ばといえば、秋保温泉は紅葉がきれいな頃なのでしょうね。それはともかく、日本は1年中で最もいい季節の真っ最中なのではないでしょうか?皆様それぞれにお花見も楽しまれたことでしょう。
ところで私、確定申告のため冬の間しばらく一時帰国していたのですが、3月末にロサンゼルスに帰って2週間余りが過ぎました。「日本語というのは本当に良く分かるものだなあ」などと埒もないことをつぶやきながら、殆ど理解できないテレビのニュースを眺め何となく世の中の情勢を嗅ぎ取っているところです。
そんなわけもありまして、日本の皆様の方が客観的な情報が得られているとは思いますが、イラク攻撃も山場を越えたようで、こちらの雰囲気も少し緊張が解けてきたような気がします。
でも、こちらに来る時はセキュリティーがものすごかったんですよ。成田空港は、春休みというのに閑古鳥が鳴くほどガラガラの状態、乗客よりも空港関係者の方が多く見かけられるほどでした。
客がいないので暇なのか、まずは最初のチェックインで、紐で縛ってあったダンボールまで含めて4個の荷物全部をあけさせられ、15分ほどかけて隅から隅まですっかり調べられました。それで終わった訳ではありません。ゲートを入るときも同様に手荷物を全部開いて見せました。しかも、いよいよ飛行機に乗り込む矢先の搭乗口を入ったところで、さらに係官に捕まってしまいました。
手荷物をもう一度見せろと言うのです。しかも靴まで脱がされ、身体全体に検知器(?)を当てられました。ポケットで反応したので中身を出せと言われました。大田胃酸の包み一個を取り出してOK。こんなものにまで反応するんですね。
私を捕まえてゆっくりと荷物検査や身体検査をしている間に、大きな荷物を持った屈強な人たちが何の取調べも受けずにすスイスイと乗り込んでいきます。それを見ているうちにだんだん腹が立ってきました。「一人や二人を抜き打ちで検査しても、検査を受けない他の人が何か持っていたら意味がないですね。」と、言わないでもいいいやみを口にしたところ、係官は、「こういう規則になっているのです。」とすました顔でした。
でも、何で私が捕まったのでしょうね?(「何となく理解できる」なんて言わないで下さい。)何はともあれ、飛行機の中は3分の1ほど空席で、思いがけなくゆったりとした旅が出来ました。(ちなみに、今回使ったのはノースウェスト航空でした。)
長い前置きで、これからが本筋です。
先週の休日を利用して、Joshua Tree National Parkという国立公園に行ってきました。目玉は「砂漠」と「砂漠の植物」と「巨大な丸石の山」だそうです。
まず砂漠。
地質学(?)的には Colorado Desert と Mojave Desert という二種類の砂漠から成り立っており、この違いは標高差に基づくものとのことで、確かに生えている植物が明らかに違っていました。いずれにしても、アメリカの砂漠は、全くの砂原というわけではなく砂地の中にショボショボと砂漠特有の植物が生えています。
そして植物。
この公園の名前にもなった Joshua Tree は、かなりの大木です。春に花を咲かせるというのでこの季節を選んだのですが、盛りを過ぎており、かろうじて枝先にボッテリと白い花をつけている木を時折見かけることが出来ました。それにしても見渡す限りこの木がニョキニョキと生えている光景は壮観というか、異様なものです。
Joshua Treeが Mojave Desert にしか生えていないのに対し、Colorado Desert には Cholla Cactus という金色のトゲに覆われたサボテンと、Ocotillo という赤い花をつけた巨大な逆竹箒形のサボテンを見ることが出来ました。いずれのサボテンも生えている範囲はかなり狭く、ちょっとした環境の変化で絶滅しそうな危うさをみせています。
正直、この国立公園の景観は、今まで訪れたヨセミテやグランドキャニオン国立公園と違って大分見劣りする感じがしましたが、植生を保護するために比較的最近国立公園に指定されたようです。
この公園のもう一つの呼び物は花崗岩からなる巨大な丸石の山、また山。砂漠のあちこちにこの石の山が思い思いの形に散らばっているのです。どれを見ても結構面白い形をしているのですが、特に有名なのがその名も Skull Rock。どう見ても気持ちのいい形ではありませんが、それを背景にVサインをしている誰かの神経も相当なものですね。
元気に任せて Ryan Mountain という標高1600mほどの山に登りました。行程2時間半ぐらいの手頃な山ですが、この砂漠の中では結構高い山らしく、頂上から360°の砂漠の大パノラマを楽しむことが出来ました。雪をかぶった遠くの山は、スキー場として名高い Big Bear あたりでしょうか。
おまけの話を一つ
なんと砂漠のど真ん中で夫婦一緒に迷子になってしまったのです。簡単なハイキングを楽しんでいたのですが、原住民が残した面白い形の遺跡を近くで見ようとトレイルを外れたのが間違いの始まりでした。(案内書には「けっしてトレイルを外れないように」と注意書きがしてあったのですが。)
砂漠の中で方向を失うのは本当に怖いものですね。ちょっと歩きのつもりだったので、地図も磁石もありません。太陽はかんかんと照っているので、大まかな東西南北の方向だけは見当がつくのですが、どっちの方向に駐車場があるかも分かっていないのです。どちらを見ても同じような景色だし、足元には道らしい道はありません。人が頻繁に通ったような足跡があったのでそれをたどって行くとますますおかしくなる。途方に暮れて辺りを眺めていたら、はるか遠方で車の反射光がピカリピカリと動いて行くのが見えました。
「あそこに道がある」と分かっただけでずいぶんほっとするものです。砂漠の殺し屋ガラガラヘビに気をつけながらその方向に急ぎました。ようやく出た道は、非舗装の悪路、どちらの方向に進むべきかも定かではないのですが、勘を頼りに一方向に進路を取りました。歩いている間、車は一台も通りません。またまた不安に陥った頃、ようやく駐車している車とその持ち主を見つけ、我々の車がおいてある駐車場の場所を教えてもらうことが出来ました。
2時間足らずの砂漠の放浪でしたが、貴重な経験になりました。日がまだ高かったこと、昼食のオニギリを食べたあとで元気だったこと、飲み水と防寒対策の上着を持参していたことは精神的な余裕になりました。また、この地域の名物のコヨーテやガラガラヘビに遭遇しないことも幸運でした。
どんな簡単なハイキングにも地図と磁石を持参すること、迷ったと分かった時点で直ちに引き返すことが鉄則、とつくづく悟った次第です。
話題を変えておまけをもう一つ
日本人の友人と一緒に市で主催する無料の英会話教室に通っているのですが、その教室で感じたことです。世の中は対イラク戦争一色というのに、先生も含めてここでは一切この話題を口にしません。推測するに、ここには世界各国から宗教も政治に対する考え方も違っている人たちが集まっているため、宗教と同じように戦争の話も無言のタブーになっているのでしょう。
ちなみに、目下のクラスメイトは、韓国、中国、タイ、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、メキシコ、インド、ナイジェリア、ケニア、シリア出身者(実際には他にもいると思います。)、以前のクラスではロシア、ポーランド、ヨルダン、イランなどの出身者もいました。
中東や東南アジアの人たちが殆どイスラム教信者であるのに加え、アメリカ人の中にもイスラム教に改宗する人が多くなってきていると聞きます。ボランティアで臨時的に来て下さった元ベトナム戦争に従軍したという先生が一言「私は平和が好きです。」とおっしゃったのがたった1度のそれらしい話題でした。
では教室で交わされるのはどんな話題かといえば、各国独特の結婚式とはどんなものか、また花嫁花婿はどんな服装をするのか、各国の地理とか気候など、当り障りのない平和な話題ばかり。いずれにしても、皆片言の英語しかしゃべれない生徒では、難しい戦争や宗教の議論などは出来そうもないのですが。
例によって長々とおしゃべりをしてしまいましたが、今回はこの辺で。皆様にはお元気でお過ごしください。