松田悠子
今回は自分の住まい近辺の紹介をさせてください。
こちらに来て以来、写真などいつでも写せるだろうという気持ちから、近辺の風景をカメラに収めたことが無いことに気付きました。日本に帰った後にきっと悔やむだろうと気がつき、先週末、カメラをぶら下げて散歩に出ました。
我々の住まいは海岸沿い、住まいの窓からも太平洋が臨めるのですが、海岸線に沿って延びる長い長い遊歩道をブラブラ歩きながら果てしない海の広がりを楽しむのも乙なものなのです。
ここレドンド・ビーチには、遊歩道とは別にピア(桟橋)があり、一応リゾート地として週末には結構な賑わいを見せています。桟橋は回廊型に海に突き出していて、週末には、鈴なりになりながら橋の欄干越しに釣り糸を海に垂らしている釣り人の姿が見受けられます。
人出もさることながら、各種の海鳥も負けじとなかなかの賑わい。ペリカン、カモメ、シギ、ハト、当然カラスも参加して人と共存共栄している感じ、この辺はちょっと日本では見られない光景かも知れません。フードショップ、土産品店などもたくさん建ち並んでおり、ピアはまたマリーナも兼ねています。
さて、我々夫婦、適当に写真をとりながらマリーナに差し掛かったら、「間もなく船が出るから乗らないか」という客引きのおじさんに捕まりました。何の予定があるでもなし、付近の海に繰り出してみるのも一興かと乗ってみることにしました。乗船料一人5ドルを支払い、かなり空いている中型船(?)の2階デッキに上りました。往復で35分程度ということで、どこまで行くのかもわからないままなのですが、船の上から岸辺を眺めるのもなかなか楽しいものです。
あまり客も集まらないままに時間切れとなったのかようやく出航、船はポンポンとのどかにエンジンの音を立てながらまっすぐに沖に向かいます。振り返って、いつもの散歩コースのピアや我らが住まいのアパートが次第に遠ざかっていく様を何となく感激しながらしばらく眺めていました。
ところで、この船はどこまで行こうというのでしょう?行き先もわからないままに乗り込むとは呑気な話ですが。途中、私には到底聞き取れない英語での説明があり、「海上に浮かんでいるブイの上に Sea Lion が見えます」とのこと。見えました、ゴロリ、グニャリと丸太のようなものが4,5体、ブイ上の狭い平面部にうまく身を収めています。タマちゃんの親戚のはずですが、どう見ても愛らしい姿には見えません。でも、Sea Lion の気持ちになってみれば、大の字になって寝転んで至福の時をむさぼっているのでしょうね。
Sea Lion に別れを告げて船はますます沖に向かいます。まさか、太平洋を渡って日本まで行くわけは無し、海の真っ只中に折り返し点として適当な箇所などあるのでしょうか?などと訝っているうちに船内放送があり、「Dolphin を探しています。」 船内はにわかに色めき立ちました。乗客全員が漁師にでもなったように、遥か行き先の海上を凝視します。私も額に手をかざして懸命に海上を眺めていますと、いく手に海鳥が海面すれすれを飛び回り、海面自体も何となくざわめきたっている箇所を見つけました。
突然、海面上に飛び出した滑らかな姿態、Dolphin です。一匹見つけた後は次々とジャンプ、ジャンプ、ジャンプ。船と同じ方向にすごいスピードで群れが泳いでいくのです。「Dolphin の後を Sea Lion が追いかけていきます。」と放送があったとか。(私には全く聞き取れませんでした。)あわててめくら滅法にシャッターを切りました。そのときの被写体が Dolphin であることを全く疑いませんでした。
何気なく乗り込んだ船にしてはいい物を見せてくれたとホクホクです。船は予定時間をはるかに超え出航から1時間後にようやく帰港したのですが、乗客は全員エキサイトしながら降りていきました。私も誠意を込めて船長さに Thank you といったら、満面に笑みをたたえて Good bye と手を振ってくれました。
「うまく写っているかな?」と帰宅後に画像をコンピューター上に写してびっくり、愕然。カメラは見事に海上にジャンプした生き物を捉えてはいるのですが、よくよく見ると生き物の背中には Dolphin の特徴であるはずの三角形の背びれが全く見当たりません。これはどうしたことか?と思う間もなく「Dolphin の後を Sea Lion が追いかけていきます。」の船内放送を思い出しました。
何のことは無い、シャッターチャンスを捜しているうちに Dolphin の群れは行き過ぎて、Dolphin の後ろを追いかけていた Sea Lion を一生懸命写していたという訳です。したがって、残念ながら Dolphin の画像はお送りできません。
船内放送によれば、冬には Whale Watching ができるとのこと。冬になったらもう一度乗船して、今度はミス無く Whale をカメラに収めようと意欲を燃やしているところです。
写真を6枚ほどお送りしてみます。ピア沿いの土産店(T-シャツ店)の前、桟橋の上(クジラやクラゲが描かれています。)、乗り込んだ船(Voyagerという船名です。)、船上から臨む桟橋、ブイの上で寝転ぶ Sea Lion、そしてDolphin ならぬ Sea Lion の颯爽たるスイミング姿です。
写真をクリックすると大きな画像で見られます。
今回は散歩途中での思いがけない乗船のため、遊歩道の光景、桟橋での釣り人の様子などを写し損ねてしまいました。機会がありましたらまたお送りしたいと思います。
才萩会例会ももうすぐですね。出席できずとても残念ですが、いつもどおりに盛り上がった楽しい会でありますようにと祈っています。
今回はこんなところで失礼します。