Sequoia National Park を訪ねて
松田悠子
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先週末に1泊で上記国立公園を訪れました。
幸いカリフォルニア州には Yesemite National Park
をはじめとして国立公園が多く、ちょっと足を伸ばせばすばらしい自然の光景に触れられるのです。
「アメリカにいる間に、できるだけ国立公園をみて回ろう」というのが我々夫婦の暗黙の示し合わせ事項、これにはちょっと訳があるのですが、それも含めて項分けしてご説明しましょう。
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アメリカの国立公園
国立公園ガイドを買って数えてみたところ、アラスカ州、ハワイ州も含めて54箇所程度あるようです。
Yellowstone、Grand Canyon、Yosemite などはその代表格なのでしょうね。
上記横綱級の国立公園は週末の1泊だけでは無理のようで、夏休みにでも挑戦したいと思っています。 |
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国立公園の入園(使用)料
国立公園によって値段に差がありますが、公園に入るには車1台に付きそれぞれ10〜20$程度の入園料(Entrance Fee)が必要です。
公園に入る道路はほんの数本に限られていて、入口には高速道路の料金所に似たゲートが設けられここで支払います。近くの数箇所の公園をハシゴしようとするとこの入園料の金額がバカになりません。
ところが、幸運なことに我が家の運転手は62歳、62歳になるとGolden Age Passportの購入資格ができます。
このパスポートは10$で購入でき、なんとこのパスポートでアメリカ中の国立公園
が生涯利用できるのです。
雄大な景観を楽しむにしては何ともせせこましい話ですが、我々にとっては、それが
国立公園行きを目指す最大の理由にほかなりません。 |
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Sequoia National Parkの名称の由来
その名の通り、Gaiant Sequoiaという世界一ジャンボな樹木が林立している公園です。
最も大きな木には「Sherman将軍の木」という名前までつけられており、推定樹齢2300〜2700年、周囲31m強、高さ84mということですが、広い景色の中で見ると言われるほど大きさは実感できません。
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Shermann将軍の木 |
とはいうものの、やはり巨大な木には違いありませんが。
ただ、このような老木を守るために、下に生えてくる若い木を絶えず処理する必要があるとのこと、そのために周囲の地面一帯がいぶされていました。
煙を吸いながらの巨木巡りは、森林浴を楽しむつもりの我々にはちょっと予想外でした。
管理人はいぶしているつもりなのでしょうが、場所によってはチョロチョロと炎を出して燃えている下木もあり、周りには全く人影なし、国立公園の大規模な山火事がよく報告されていますが、もしかしたら人災?と首を傾げたくなるようなシーンでした。
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ハイキング(1)
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Moro Rockの頂上 |
国立公園のよく整備されたトレイルは、我々のハイキング意欲を高めるひとつです。
土曜日にはMoro Rockという山肌に突き出した巨大な1枚岩の頂上を目指しました。
森林の中に別にトレイルもあるようですが、怠け者は車で岩の下まで行き、直接400段ほどの階段を上ります。(我々は当然こちらを選びました。)
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ちゃんと休憩用の踊り場も設けられ、15〜20分ほどで見晴らしのいい頂上にたどり着きます。
空気の済んだ日は山波を越えて太平洋まで臨めるといううたい文句ですが、残念ながら頂上はスモッグ的な靄にかすんで絶景中の絶景というほどではありませんでした。
アメリカ特有の岩山を臨む雄大な景観は楽しめましたが。
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ハイキング(2) |
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対岸の滝 |
日曜日には、Eagle Lakeという山の上の湖を目指すことにしました。
実は、宿からトレイル入口までおよそ25、6マイル(約40km)ということだったので、1時間ほどあれば着くだろうと思ってのんびり宿を出たのが間違いのもと、上記セコイアの森に行くのとは別の山道は「Terrible Road」なる案内書の記載を裏切りませんでした。
日本にもなかなか無いような悪路というか狭い山道、足元は谷の底が見えない絶壁、すれ違う車が少ないのが救いでした。 |
でも、たまに来る対向車は、こちらから車が来ているなどとは考えてもいないように道路の真ん中をかなりスピードで突っ走ってきますのでその怖いこと。
1マイルに付き29曲がりというくねくね道には勿論カーブ・ミラーもありません。
冷や汗ものの40kmの走行には2時間半以上を費やしてしまいました。
結局、目的のトレイルに入ったのが丁度12時、目指す湖は入口から3、4マイル(約5、4km)のところにあるはずです。
緑豊かな谷を臨みながらキャニオン沿いのトレイルをだらだらと登る滑り出しは好調でした。
谷を挟んだ向かい側の山肌には、白い細布を垂らしたように滝が見えます。
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キャニオンを離れた途中からは赤、黄、紫、オレンジと色とりどりの可憐な花が咲き乱れるお花畑に突入、これはすばらしいトレイルだぞと感激しながらシャッターを押すことしきり。
とはいうものの、上り坂はきつきなるばかり、ふっとなだらかなところに出たと思うとそこはいかにも名物のくろ熊でも出そうな鬱蒼とした針葉樹の林、熊よけのおまじないに大声で森のくまさんの歌を歌いながら一生懸命通り過ぎました。
大分登っただろうと思った所に立っていた案内板の表示は「これより1、4マイル」、ガクッときてしまいました。
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お花畑で出あったマーモット
(よくよく見ると石の上に居ます。) |
登頂挫折点と未登頂の絶壁 |
気を取り直してしばらく歩き、下りて来た若者カップルに尋ねたところ、湖まではあと30〜40分程とのこと。
足はへとへと、でももう少しと歩き始めた途端、目の前に絶壁が立ちはだかっていました。
つまり、最後の30〜40分とはこの絶壁登りだったのです。
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ここで老夫婦の登頂意欲は完全に消滅、既に時計の針は2:45をさしていました。
山の上の湖の光景を想像しながら、後ろ髪を惹かれる思いで、でも急いで下山開始、帰りの道はトレイルも、車の道もなかなか遠いものがありました。
あとで案内書をよくよく読んだら、1日では無理なコースのようです。
以上のように、国立公園のトレイル歩きを生きがいの一つとしている我々ですが、なかなか目的地にたどり着けないことの多い現状です。
「これは立派に老人力のついている証拠だね」と苦笑いしているのですが、それなりに健康な証拠でもあるのでしょう。
これからも無理をしないで楽しみたいと思います。
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