データベース雑感(設問2件あり) |
工藤 喜弘
[はじめに]
私の父親にとって最高の美徳は学校を休まないことであって小学生のときはどんなに高熱でも背負って学校に連れて行かれたので精勤賞(授業も休まない皆勤賞に次ぐ)を毎年頂き、卒業のとき総合の精勤賞に輝いた。
設問1:
中学でも、漆で全身かぶれても登校し、近づかないで帰宅せよと先生から懇願されたりする苦難を乗り越えて3年間連続して精勤賞を貰った。しかし総合の精勤賞の対象から外されそうになった。その原因を推定してください。
[準備]
山形大学工学部情報工学科に転職した当初、この学科の最上級生であった2年生に講義できる科目がなく、消去法で残ったデータベース論を担当させられ、成り行きで現在に至っている。
そのお陰でデータベース管理システムにはエラーを防ぐいろいろな工夫がなされていること、しかし、実際に防ぐ誤りは「論理的」でかつ「容易に検出できるもの」のみであること、などを知った。
人間は間違いをする動物だから、データベースにはかならず誤りがあると考えて良い。1970年代、ヨーロッパのデータベース業者協会が利用契約書に「我が社のデータベースを使用していかなる損害を被ろうとも責任はもたないと書くこと」と「それでも起こり得る訴訟に備えて利用する裁判所を明記しておくこと」などと会員に指導した理由もそれである。
さてデータベースのこのような性質を理解してもらうために講義の最初の時間に私は「学生の知識、意識の調査」をすることにしている。その内の一つを設問2として紹介するので解答を試みられたし。現実の県とは限っていないことにご注意。
設問2:
下記のA, B, C, D, E はあるデータベース講習会での練習問題に対する5人の受講者の回答である。正しいものに〇、誤っているものに×をつけよ。
練習問題:
「県庁所在地の”データベース” を作れ。ただし、1県の県庁所在地の数は1以上かつ1以下(すなわちかならず有って、複数はない)で、地名には同音異義(異なる土地が同じ名前を持つこと)や同義異音(別名)はない、とせよ」。
A B C D E 山形県山形市
宮城県仙台市山形県仙台市
宮城県山形市宮城県塩釜市
宮城県仙台市宮城県塩釜市
山形県塩釜市宮城県米沢市
山形県福島市
[本題]
私の名前「喜弘」はよく間違えられる。昭和44年に韓国出張のために有楽町駅前の都庁でパスポートを申請したとき、会社お抱えの旅行業者がよこしたおにいちゃんがいい加減で申請書類を窓口で3回突き返された。1回目は私の名前を「喜引」としたためであった。これは極端過ぎる事例であるが、断然トップが「善弘」でかつては現職場内での連絡でも繁用され、7割程を占めたこともあった。現在では企業からの挨拶状に多い。次ぎが「義弘」で、本名がようやく3位、その次が「嘉弘」であるが、近いうちに「義弘」が4位に陥落するかも知れない。
皆様は年賀状を「書いた」であろうか?15年ほど前、「ワープロ賛歌」を書いた私は年賀状の宛名書きにもワープロを利用したのに、いまは時代に逆行して手書きで粋がっているが、労力が大変である。宛名は頂いた一番新しい手紙から書き写す。
さて、引越通知も出さず、住居表示変更通知用の50枚の無料葉書も活用しなかった私は、現役の三つの住所データを持っている:
「米沢市林泉寺2−2−53」(現住所の住居表示)
「米沢市林泉寺2−2−47−1」(3年ほど前の住居表示)
「米沢市林泉寺2−1−1 山形大学職員宿舎ーーー」(7年前までの住所)今でも(7年前までの住所)の「工藤 善弘」宛などの手紙が来るが、そんなのでは驚かず、たまに「こういう大事な手紙には芸名ではなく本名を使ってください」とお願いする程度である。しかし、あるソフトウエアの会社から3回来たダイレクトメールが「駆動 喜弘」宛になっていたのには「喜引」以上に驚き、絶句した。
管見を述べさせてもらえば、住所氏名データの管理をデータベースで行っている方々のほとんどは一旦収めたデータは何があっても変えない傾向がある。
[蛇足]
設問1:生徒名簿で私の名前が2年生のときだけ「善弘」とされていた。
設問2:Cのみが条件に反しているので×、他はすべて条件に反していないので〇。以上