北川洋三 


ここ一年ほど、あるきっかけから江戸に興味を覚え、江戸に関する書物を読み漁っては、その由緒の場所を訪れるのを楽しみにしています。

先日は金井さん達の”さんすい会”に遠路参加させていただきましたが、せっかくの機会なので、途中泉岳寺や品川近辺に残る古い寺などを訪問し、江戸を偲んで来ました。

ところで、今日ここでお話したいのは、江戸関連のことではありません。先日、かねて行きたいと思っていた向島の白髭神社や三囲神社(みめぐり神社)を訪れた時に出会った、ある言葉がずしんと心に響いたので、その言葉を紹介したいと思ったわけです。

尚、白髭神社や三囲神社やその周辺は江戸の面影を色濃く残しているので、その辺は別の機会に改めて紹介したいと思います。

白髭神社の掲示板に、"三月、命の言葉" として 「苦境にあっても天を恨まず」 宮城県気仙沼市階上(はしかみ)中学校卒業生代表の言葉” とありました。

宮城県気仙沼市は3.11の津波で大きな被害を受けたことは、度々報道されたのでご存知のことと思います。 そこの中学校の卒業生代表といえば、まだ十台半ばの少年ですが、よくあの環境でこの言葉を言えたものだ、と深く心を動かされました。

私自身が宮城県石巻市の出身で、故郷の惨状を目の当たりにしているので、なおさらこの言葉に引かれたのかも知れませんが・・・。

しばらくその掲示板を眺めた後、隅田川沿いに歩いて三囲神社を訪れました。 境内の古跡を眺めて本殿に参拝したのですが、社殿の前をふと見ると、あの言葉が書かれたパンフレットが置いてあって、その中に全文が紹介されていました。

それを以下に紹介します。 

宮城県気仙沼市立階上(はしかみ)中学校 卒業生代表梶原裕太君の言葉

「階上中学校といえば 『防災教育』 といわれ、内外から高く評価され、十分な訓練もしていた私たちでした。  

しかし、自然の猛威の前には人間の力はあまりに無力で、私達から大切なものを容赦なく奪っていきました。

天が与えた試練というにはむごすぎるものでした。 つらくて悔しくてたまりません。 

・・・生かされた者として頭を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く、正しく、たくましく生きていかなければなりません。

・・・命の重さを知るには、大きすぎる代償でした。 しかし、苦境にあっても天を恨まず、運命に耐え、助け合って生きていくことが、これからの私達の使命です。 

・・・後輩の皆さん、階上中学校で過ごす "あたりまえ" に思える日々や友達が、いかに貴重なものかを考え、いとおしんで過ごしてください。 

・・・最後に本当に、ありがとうございました。」


パンフレットの発行元は東京都神社庁とあり、月ごとに”命の言葉”をだしているようです。