スイス・パリ オペラツァー(6) パリ その1

金子忠次

前回ジュネーブで見たオペラのところまで書いたあとで身辺に雑事が重なり、2ヶ月も記事を書く気になれなかった。しかし最後のパリまで書かないとこの旅の記録も完結しないので薄れつつある記憶を呼び戻しながらENDのパリ編を書くことにした。

パリには現役時代に仕事で2回行ったことがあったが、その時は同行したメンバーが凡そオペラとはかけ離れた人たちだったので、夜は毎日飲んだり食べたりで過ごしていたように思う。それだけに今回オペラを目的にパリを訪れることができたのは本当に幸せであった。

  1. パリのオペラハウス

パリのオペラハウスといえば昔はあの三越の近くの”パリオペラ座”(右)が超有名で観光名所になっていたのだが、1989年に新しく”オペラ・バスティーユ”ができてオペラの公演は一般にこちらで行われるようになった。

で、もとのオペラ座の方は”オペラ・ガルニエ”或いは”ガルニエ宮”と呼ばれてバレーの上演が主体になっている。(ガルニエという名称は設計者の名前だそうだ。)

 


ガルニエの方は座席数1,900席であるが、バスティーユ(左)は2,700席もある大劇場で建物も近代的なビルである。

 

ミッテラン大統領のときにオペラの”大衆化”を旗印につくったのだそうだ。

 

巨大なビルでガラスが多用された前面は美しい弧を描いて現代アートの美術館のようである。

 

内部のデザインはゴテゴテした装飾がなくすっきりしている点はいいが、機能的すぎてオペラの雰囲気にはやや欠けるように感じた。

私のように懐古趣味で頭の古い人間には、オペラを見るのだったら絢爛豪華な雰囲気にあふれたガルニエで、という気持ちを抑えることができない。

 

 


オペラ・バスティーユの内部(2階席)

 


オペラ・バスティーユ 2階席から平土間とオーケストラボックスを見る


パリにはこの他にもオペラを公演する劇場がいくつかあり、我々も今回2つのオペラを別の劇場で見たのだが(「ルイザ・ミラー」はバスティーユで、もう1つの「テゼ」はシャンゼリゼ劇場で)雰囲気の違いが面白かった。

シャンゼリゼ劇場はパリ8区モンテーニュ通りにある、といわれても地理的なことはよくわからないが、シャンゼリゼの通りからセーヌ川の方向に入った(かなり川に近い)ところにあった。

 

夜しか見てないのでよくはわからないのだが、入口はブランドものの店のような感じであった。 (左の写真)

ところが中はかなり広くて、座席も1900席くらいあるらしい。

 

内部はお洒落な雰囲気があり非常にいい感じがした。

 

 

バスティーユの後で行ったからだろうが、私はバスティーユよりシャンゼリゼ劇場の方が好ましい印象を受けた。(懐古趣味にしか過ぎないか)

近年、この劇場はバロックオペラの上演で評価が高く、有名な歌手の出演も多いらしい。インターネットで検索したら、1913年オープンしその年にストラヴィンスキーのバレー「春の祭典」がここで上演されて大騒ぎになったとか。また、ここはフランス国立管弦楽団の本拠地でもあるそうだ。いろいろ話題に富んだ劇場である。

このほかにはシャトレ座というのがあるが、今回は行かなかったので省略。
 


シャンゼリゼ劇場の客席