今年のオペラツァー 予告編

金子忠

年中行事のようになったオペラツァーに今年も2月の下旬に行くことになっている。いろいろな事情から、このような形でのオペラツァーは今回が最後になりそうで実に残念である。

今年のツァーの行き先は、国としてはスイスとフランスであるが、フランスはパリだけなのでスイスとパリと言ったほうがよさそうだ。

スイスのオペラハウスはメトとかウィーンのようにメジャーではないが、個性的なオペラ公演が多いことで”玄人スジ”には定評がある。個性的な公演というのは我々素人にはわかり難くて問題なのであるが、ツァーの締めくくりとして玄人のフリをするにはいいかもしれない。

何が個性的かといえば、主として演出である。古典的なオペラを現代風の演出で舞台にのせるということになる。たとえばモーツァルトの「フィガロの結婚」を、時代を現代に置き換えて、フィガロが背広を着て出てきたりするのである。

我々はオーソドックスな演出を期待していて、そういう奇抜な演出のオペラは好きでないのだが、ヨーロッパの人たちは古典的な演出は見飽きているらしくて最近はそのような奇抜な演出の公演が結構多い。今回はどうだろうか。

それはともかくとして、今回行く予定のオペラハウスと見るオペラを挙げてみると
 

1.チューリッヒ

チューリッヒ・オペラ座

(ロッシーニの「アルジェのイタリア女」

2.  同 

(シューマンの「ゲノフェーファ」

3.ベルン

ベルン歌劇場

(マスネーの「サンドリオン」」)

4.ジュネーブ

ジュネーブ・グランド劇場

(ロッシーニの「チェネレントラ」

5.パリ

バスティーユ歌劇場

(ヴェルディの「ルイザ・ミラー」

6.  同

シャンゼリゼ劇場

(リュリの「テゼ」」)


となるのであるが、どうもマイナーなものばかりで甚だ心細い。特に、シューマンの「ゲノフェーファ」、マスネーの「サンドリオン」、リュリの「テゼ」の3つのオペラは名前さえ聞いたことがない。
 

それで、今一生懸命勉強中である。勉強といっても筋書きを憶えるだけであるが。

今回も6夜連続オペラである。また体力勝負になりそうだ。


解説付きで映像を見たことのあるのは、「チェネレントラ」だけである。これはいわゆる「シンデレラ」の物語で、一般に知られているシンデレラと細部では違った点はあるが、凡その筋書きはご存知のとおりである。ロッシーニ特有の喜劇調のオペラでこれはわかり易い。

「サンドリオン」と「テゼ」は全くお手上げである。リュリなどという作曲家の名前はまったく聞いたことがない。バロック時代の音楽家らしい。

シューマンがオペラを作曲していたとは・・・知らなかった。今回初めて知った。

ただ、「テゼ」ではアンネゾフィー・フォン・オッターが主役を歌うことになっていて、これは非常に楽しみである。世界的なメゾソプラノ歌手である。

歌手といえば、「アルジェのイタリア女」に出るヴェッセリーナ・カサロヴァ(メゾソプラノ)も期待の歌手である。チューリッヒ歌劇場が本拠の歌手であるが、世界的に活躍している。

さらに有名なのは、「ルイザ・ミラー」に出演予定のラモン・ヴァルガスでポスト3大テノールの呼び声が高い売れっ子のテノールである。その点では昨年ミラノで聞いたディエゴ・フローレスと同列である。

今回のオペラはマイナーなものが多く楽しめるかどうかわからないが、この3人の歌手の生の声を聞くのが今から楽しみである。

観光的にはせっかくスイスに行くのであるからアルプスの山々などを見たいのであるが、真冬のシーズンでもあり、アルプスの方には行かないのが残念である。
しかし、冬のスイスもいいと言う人もいるので、昼間の観光も大いに期待している。

パリでは何と言ってもオルセー美術館である。今回は「監視」つきであるのでリドとかムーランルージュは行けそうもない。オペラハウスでは、昔の有名なパリオペラ座は、今はガルニエと呼ばれてバレ−の公演が主体になっているのでここでオペラを見れないのは残念である。

旅行は2月下旬なので、ブログに載せるとしたら3月になる。もっともその気になったらの話であるが・・・