北イタリアの町 - サン・ジミニャーノ

北イタリア・オペラツァー(その11)

金子忠次

 

サン・ジミニャーノなんて町の名前は今まで聞いたことがありませんでした。

しかし、それは小さいけれど魅力あふれる町、まさに中世の面影を今に伝えるトスカーナの静かな町でした。小さいながら世界遺産の町です。

下の写真の中央部、丘の上に見えるのがサンジミニャーノの町です。


フィレンツェから南に50kmほど、低い丘陵とブドウ畑がどこまでも続くのどかな風景の中に、突然この町は現れました。ここは町というより村、人口は約7,000人と案内には書いてありましたが、実際はそんなに人がいるのかと思うくらいこじんまりした静かな町でした。
 

小なりといえども、この町は昔は都市国家(自治都市)の形をとっていましたので外敵から町を守るために立派な城壁が町を囲んでいます。

イタリアの中世の都市はお互いに戦争ばかりしていたようで、どこの町も城壁に囲まれています。

この町も同様ですが、すぐ近くにフィレンツェという強敵が存在していたため、長い間その支配下にありました。

「美しい塔の町」と呼ばれています。

塔は13世紀頃、当時の町の有力者が勢力を誇示するために競って建てたものだそうで、最盛期には72本の塔がこの小さな町に林立していたのだそうです。(理解し難いことに、この塔には実用的な機能は殆どないのだそうです) 

いくらなんでも、景観的にもこの狭い町に72本は多すぎると思います。塔だらけで見張りの役にも立たなかったでしょう。現在は14本、これ位がちょうどいいのではないでしょうか。

左の写真といい、下の写真といい、全く中世そのものです。14世紀以降町は寂れてしまったので、そのお陰でこのような昔の街並みがそのまま残ったようです。
 

中世の面影を残している、とよく言われますがミラノのような大都市ではそれは部分的に残っているので、我々はそれを探しに行かなくてはならないのですが、ここでは殆ど全てが中世そのものと言う感じで、通りを歩いていると本当にタイムスリップしてしまいそうでした。