ジェノヴァのカルロ・フェリーチェ劇場

北イタリア・オペラツァー(その6)

金子忠

 

 

 

今回のオペラツァーではジェノヴァのカルロ・フェリーチェ劇場で「道化師」と「カヴァレリヤ・ルスティカーナ」を見ました。

 

この劇場はオペラハウスとしてはあまり名が知られていませんが、建築としてなかなか味のある歌劇場だと思いました。

ガイドブックによれば最初の建物は1828年完成ですが、イタリアの他の歌劇場と同様、1943年に連合軍の空爆を受け破壊されました。

 

1991年の再建といいますから戦後かなり経ってからの再建になります。
 

外観は前面に6本の古代ギリシャ風の柱を配したデザインでなかなかの風格を感じました。夜景も素敵です。
 

ちなみにカルロ・フェリーチェというのは最初の建物の建設を命じた当時のサルデーニャ国王の名前のようです。(イタリアの歴史は複雑でサルデーニャはトリノを首都とする共和国で、当時ジェノヴァはその支配下にあった)

 

内部がまたすてきなデザイン、色調で作られています。舞台に近い桟敷席は石造りのマンションのようで非常に変わっています。

他の歌劇場を見てきた目で見ると特異な感じがしましたが、慣れてくると悪くないと思いました。

 

平土間のシートは大部分を占める赤と背もたれの黒が調和して非常にいい雰囲気を醸し出しています。
 

新しく再建された劇場には機能重視とか奇抜なデザインで面白くないものもあるのですが、ここは非常に洗練されたデザインで好感が持てました。

 

全般にイタリアはいろいろな分野でデザインに面白いもの、興味をひかれるものが多く、この面でも楽しめました。 建築とかデザインについては全くの素人のたわ言に過ぎませんが。