中欧オペラ紀行(14) ウィーン ―その6―
金子忠次 劇場は「魔笛」と同じフォルクスオーパー(左の写真)。フォルクスオーパーは国立歌劇場に比べてやや小ぶりで収容人数は1320席、立見70を加えて全体で約1400とガイドブックにある。 場所はウィーンの中心からやや外れたところにあるが地下鉄の駅のすぐ近くで交通の便は非常によい。建物も国立歌劇場のようにいかめしくなく、芝居小屋の雰囲気がある。とはいっても中は下の写真のようにオペラハウスのつくりである。 ところで、フロトーの「マルタ」というオペラはあまり馴染みがなかった。事前に”学習”したところでは、「庭の千草」の歌で有名とあった。あれれ〜 私はあの歌はイギリスの民謡と思っていたのに・・・。昔学校で習った英語の題名を覚えている。 調べてみたところ、やはりこの歌はイギリスの民謡(アイルランド民謡)に間違いない。作曲者のフロトーがこの歌をオペラの中に拝借していたのである。 "The last rose of summer" 下の写真は、劇場横の「マルタ」のポスター(看板?)。 物語の舞台が18世紀初めのイギリスだからこれを使ったのだろう。それにしても懐かしくもいい旋律である。ややセンチメンタルで我々日本人にもピッタリくる。ナツメロ番組でよく歌われるから一時は日本人が作曲したものと思っていた。それにしても「庭の千草」とは何と素敵なタイトルをつけたことであろうか。(オペラに関係ないことだが)
これを見た日はツァーの8日目くらいで疲れもたまり、初めから非常に眠かった。指揮者がすぐそこに見えるいい席だったのに、睡魔と闘っているうち第2幕まで終わってしまった。「庭の千草」もいつの間にか歌い終わってしまっていた。しまった!今日はこの歌だけが楽しみで来たのに・・・とガックリしたが、後のほうで別の登場人物が歌ってくれたのでほっとした。あまりメジャーでないオペラでは、知っているメロディーが出てくると、本当にホッとする。 そんなこんなでストーリーは残念ながらはっきりとは思い出せないが、オペレッタに近い軽い調子のラブコメディーといった内容であった。「庭の千草」に代表されるように、初めて聞く曲でも親しみやすい曲が多く、まるでミュージカルを見ているようで気楽に楽しめた。の写真はカーテンコールの時のもの。美人揃いでどの人が主役か忘れてしまった(左写真)。 上右の写真もカーテンコールの時のものであるが、手前のオーケストラのメンバーを見ると日本人らしい顔も見える。ヴァイオリンで女性が二人ほどいたようであった。おお頑張っているね、と声をかけてあげたくなる。 なお最近の音楽雑誌を見ていたところ、2008年にフォルクスオーパーが来日公演することが予定されていて、その演目の中になんと「マルタ」も入っているので驚いた。是非見に行きたいと思っている。 今回のオペラツァーも終わりに近づいた。もうネタも切れてきたので、後は”総集編”といこうかな! |