ブラチスラヴァ ―その3―
チャイコフスキーの「エウゲニー・オネーギン」― スロヴァキア国立歌劇場で見たオペラはチャイコフスキー作曲の「エウゲニー・オネーギン」。私としては初めて見るオペラで、それ程ポピュラーな曲ではないから実はあまり期待していなかった。 それがなんと、非常におもしろかった。 出演した歌手の名前はザルツブルクと同様一人として知っている人はいなかったが、全体に歌手陣が非常に充実していたと思う。
ヒロインのタチアーナを歌った歌手は実は私の好きなタイプ―そこそこ美人で適度に豊かな肉体の持ち主―下のカーテンコールの写真をご覧いただきたい。 一言で言ってしまえば、舞台映えするタイプである。 肝心の歌の方も体型同様声に張りと余裕があり、大いに楽しめた。 最も好評だったのは、グレーミン公爵役のバス歌手。 この役は最後の第3幕だけに出てきて、いいアリアを一つ歌うだけなのだが、なんと我々のすぐ横のボックス席に出張してきて歌ってくれたのである。 もちろん、そういう演出なのだが、これには正直おどろいた、というか、すぐ横で大男のバス歌手が大声で歌うのだからたまらない。 大声ではあるが耳に快い低音の魅力に男といえどもしびれた。横にいた女房殿もググッときたらしい。 上から2番目の写真で皆がこちらを見ているのは、我々の横で歌っているグレーミン公爵を見ているのである。
ブダペストのところでも同じことを書いたが、より上のクラスへ昇っていきたい願望と競争が無名ともいえる歌手たちの支えになっているように思われる。(ただ、歌い手の名前を知らないのは恐らく我々だけで、現地の人達にとってはここで歌う歌手はかなり有名な人たちばかりだと思う)
観客の方からすると、自分の贔屓にしている無名の歌手が世界に羽ばたいていくというのは、何物にも変え難い喜びだろうと思う。宝塚のスターや演歌歌手と同じである。 内容的にも時代背景的にも、現代に近いと言うことがあるためだろうか。 逆に変化に富んでいて、左の写真のように一部ミュージカル的なところもあり面白かった。 これだったら新奇な演出でも違和感なく楽しめる。 上の写真はカーテンコールの時のもので中央胸のあいたコスチュームがタチアーナ、その右がオネーギン、左がグレーミン公爵 と言うわけで、この日も大いに本場のオペラを楽しんだ。 ところで、ここでお金のことを言うのは気がひけるが、今日のチケット代は3階のボックス席で 6、000円程度であった。 国を代表する歌劇場のチケット代としては、日本では考えられない安さである。 ついでにいうと、初日のブダペスト国立歌劇場が平土間の前から5列目で約 5,000円、ザルツブルクの州立劇場が同じく平土間の前から4列目ほぼ正面の席で 6,500円といった具合で、相場として大体こんなところなのである。
・・・4万円とか5万円とかいう東京に来る外国オペラのチケット代はべらぼうに高すぎるのだ!!!。(今度行った中では、ウィーンの国立歌劇場だけが特別に高い。それでも最高の席で2万円をやや超えるくらい・・・・・これが世界最高レベルのオペラハウスのチケット代である。) こんな所に写真を出したらまずいのだが、ゴメンナサイ、ということで・・・
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