金井孜夫

今般、愚妻との世界遺跡巡りの一環として、メキシコのマヤ文明、タイの古都スコータイ、中国奥地の敦煌に続き、ブラジル、アルゼンチン、ペルーにまたがる掲題ツアーを決行した。2003年10月29日成田出発の、近畿日本ツーリストによる10日間のツアーで、参加者は80歳間近のご婦人から20歳代の若者までの27名、うち夫婦同伴は5組であった。

何しろ地球の裏側で、サンパウロまで正味22時間の機中座りの拷問と、海抜0米のリマから3,400米のアンデス山地のクスコへの僅か1時間での移動による高山病とで疲労困憊。ツアー中日に下痢と38度に近い発熱に見舞われ、丸1日アンデス高地のホテルと移動バスの中で半死の状態であった。しかし、にもかかわらず訪問先は皆素晴らしく、感動々々であった。世界遺産各アイテムの解説は成書に譲るとして、以下に感想を記す。

  1. イグアスの滝

    密林に爆音を轟かせ、幅4kmに亘って落下する高さ約100米の乱流の迫力はナイアガラの比ではなく、細い木製の柵に掴まり、ずぶ濡れになりながら覗き込む、滝の落ち口観賞は、身の危険充分であった。

  2. クスコのインカ遺跡

    スペイン人によって蹂躙され、目も眩む黄金の美品の99%がインゴット化されてヨーロッパに運び去られてしまったインカ帝国の都クスコは、美しくも悲しい都市である。後世の地震でスペイン建築が崩壊したにも拘わらず、その土台とされたインカの石組みはビクともしなかった。カミソリ1枚入らない精度で組み上がっている、巨石の曲面会合技術は、現代人にとっても高難度のハイテクと見た。

  3. マチュピチュの空中都市

    くねくねとした山道を登りつめると、2,280米の山頂に突然展開する石の都市。何故ここにこんな一大都市があるのか、そして1万人もの住民が何故ある日コツゼンと消えてしまったのか、彼等は何処に行ってしまったのか、彼等の新居たる同規模の第2の幻の都市がアンデス山地にまだ発見されずに存在するのではないか、尽きない謎と、夢を掻き立てるロマンに圧倒された。

  4. ナスカの地上絵

    親切にも地上絵をシッカリと見せてくれる、50分間に20回近く繰り返される3人乗り小型セスナ機の8の字飛行は嘔吐との戦いであり、ジェットコースター恐怖症の小生には些か手荒いサービスであった。一方で、近年の地球規模の異常気象による地上絵の消失が懸念される。3年程前に、エルニーニョにより発生した洪水が平原を横切ったが、これが1,500年間無事であった地上絵の上を走ったらと想像するだけでゾッとする。対策は何も打たれていない。

さて、ツアー自体に対するコメントである。