奥脇昭嗣君、環境科学について語る

金井孜夫

2003520日付『東北大學生新聞』に掲載された、奥脇昭嗣君が学生記者のインタビューに答える形で「環境科学」について語った記事を、大島正孝君から見せてもらった。各位にもご紹介したく、ご本人の了解の下、その一部をここに転載させてもらう。

近年の大量生産・大量消費という人間活動は、いろいろな新技術や新物質を生み出し、私たちの生活を便利で快適なものにしてきた。しかしその一方で、自然界の生産・再生・処理能力をはるかに上回る資源・エネルギー消費と大量の廃棄物の発生をもたらし、自然環境の破壊、地球温暖化、生態の破壊、都市や社会の荒廃などの地球規模の環境問題を引き起こしている。

「環境」問題への取り組みが、我が国の科学技術基本計画においても最重要分野の一つとなっているなかで、本年新設された環境科学研究科の奥脇昭嗣 研究科長に、研究科の特徴と、私たちのとるべき姿勢を聞いた。

文理融合で環境を考える

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課題解決へ学生と共に挑戦

環境科学を十分に理解するには、高度な、または、総合的な理解力や行動力が必要となります。日本は、経済的に世界を支えている割に、国際社会で活躍できる人材が少ないので、これから国際的に活躍できる人材を作っていかなくてはいけないと感じています。

本学の環境科学研究料は、全国では三番目に開設されました。国際文化研究科や東北アジア研究料の先生にも加わっていただいて、文理融合で学問を作り上げていこうという意気込みで作られた独立大学院です。

環境科学研究科はEnvironmental Studiesと呼びますが、「Science」ではなく「Studies」としているのは、まだ途上にあるという姿勢を表したものです。どのような形をとりながら将来の、皆さんの社会のあり方に役立つものを見出していけるかということが、この研究料の意気込みであり使命だと思っています。それぞれの専門分野の中で、大きな課題をどうクリヤしていくかを学生とも一緒に挑戦し、少しずつ答えを見出していこうとしています。

 

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国際社会で活躍する東北大

日本は保全という観点では世界でも高い水準にありますが、東北大から発信している技術として、排気ガスの硫黄酸化物の除去があります。実に世界の半分以上、日本では七、八割の大煙突から出る硫黄酸化物の除去について、東北大が作り上げた石灰石膏法が使われています。

また、大気中の二酸化炭素の増加については、田中正之先生が飛行機に大気の採集装置をつけて研究を行っていました。田中先生は、UNEPICPCという、環境を扱う国連の機関から環境賞をいただいています。このように本学の先生は、様々な分野で活躍しているのですが、そのような先輩を見習ったり追い越したりして、皆さんにも是非、国際社会で活躍していただきたいと思っています。

(以下省略)以上