主婦業代に関する一考(その2)

金井孜夫

遠藤君の“「主婦業代に関する一考」への反応”、および酒井君の“駄弁:「専業主婦の家事労働の価値について」”を拝読しました。遠藤君のクラブのメンバー各位の感想、それぞれにうなずけます。酒井君の綿密な解析、感心しました。

 

ここで、茨城県企画部統計課による資料「母親の家事の値段」(http://www.pref.ibaraki.jp/tokei/mame/omosiro/045.htm。酒井君の上記寄稿文にも引用されている。)をそのまま転記・紹介します。家事労働評価額の意味するところが分かり易く解説されていますので。

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私たちのお母さんは、毎日朝早くから、炊事に洗濯、掃除と忙しく働いています。本当に御苦労様です。

 

これらの家事、育児、買い物など、いわゆる「家事労働」は、家族のために無償で行われる労働であり、これを「無償労働」といいます。

 

ただ、収入を伴わないため、今までお金に換算して評価されることがなかっただけのことです。

 

これらの家事労働をお金に換算すると、はたしていくら位になるのでしょうか。

 

今回は「機会費用法」といい、家事労働をしている時間をもし外で働いていたと仮定すればいくら稼げたかを計算する方法により、本県の家事労働評価額を推計してみましょう。

 

これによると平成3年における本県全体の家事労働評価額は2578億円となっています。

 

平成3年度における県内総生産が101128億円ですから比率にして、20.3%を占めることになります。これは、女性が多くを担っている家事の大きさを改めて浮き彫りにしています。

 

それでは、家事労働の年間一人当たりの評価額を男女、仕事の有無別にみてみましょう。

 

働いている男性は約27万円に対し、働いている女性は男性の約4.9倍の約132万円、働いていない、いわゆる専業主婦は男性の約6.5倍の約176万円にもなっています。

中でも働いている女性は、仕事と家事の両立をこなさなくてはならず負担が大きくのしかかっています。またグラフが示すとおり、特に2544歳の働いていない女性一人当たりの家事労働は、家事や育児、さらに老親の介護等のために実に300万円を超えてしまいます。

 

今日、男性も家事、育児、介護などをもっと積極的に分担していくことが、女性の負担を軽くし、社会参画をうながすためにも求められているのではないでしょうか。

 

※計算の方法

「家事労働の評価額」=「家事労働時間」×「時間当たり賃金」

家事労働時間:[社会生活基本調査](総務庁統計局)から

時間当たり賃金:「賃金構造基本調査」(労働省)から

   

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これを我が家に当てはめると、子育てに奮闘している専業主婦たる娘の家事労働評価額は約300万円強/年<“がんばれ!”>、子育てや親の介護から解放された家内は約100万円強/年<“ごくろうさまでした!”>、一方、ゴロゴロ亭主たる小生はゼロ評価となろう。

 

(注)

上記データは平成3年度ベースなので、現状に置き換える時には、実質賃金上昇率(平成3年→19年)<5人以上の製造業事業所:−2.8%、30人以上の製造業事業所:+1.8%>を考慮する必要がある。
(ほとんど変わっていない)

以上