幸福度 その2
gonegaga

旧年、都道府県別幸福度なる調査結果をインターネットで見つけ、その印象を 「幸福度」(左文字列クリックでページが開きます)と題し、ホームページの載せた。

それを読んだ友人・知人から、幾つか感想をもらった。

  • 県別とか国別とかでをリサーチしてランキングをつけたところで、「それがどうしたの!」と冷ややかな気持ちでした。幸福度は、最終的には個人が感じる満足度であると思います。
    定義は難しいですね。 まあ、なるべく今は幸せだな...と思うことにしています。年をとると自然にそのようになってきました。諦めの境地も認めます。そのほうが精神上うまく生活できるような気がしています。

  • 国の歴史や、国民性、習慣などを配慮せず、西欧的価値観での順位付けなど意味ない。

  • 客観的指標と主観的指標のズレは面白いですね。個人の幸福感は、半分は遺伝子で、半分は環境でとの説があります。かつて米国で一卵性双生児を追跡調査した時、離れ離れに育って一方が金持ち、一方が貧乏になっていても幸福感はほぼ同じだったという記事を見たことがあります。遺伝子ですね。テレビ等で、100歳以上の方々が、環境に関わらず、概ね「今が一番幸せ」と言っているのを観て、いつも感心しています。今後、そうなりたいと願う昨今です。

幸福に関連する指標を設定し、その、評価に応じて幸福度のランクを決めるというやり方に疑問を感じるのは、当然だろう。

都道府県別幸福度の調査は、正にその例だが、Webページで簡単に触れた国連の国別幸福度調査「世界幸福度報告(World Happiness Report)」は、どうも、それとは異なるようだ。

我がホームページでの記載が、そもそも、都道府県別幸福度調査結果について紹介と感想であり、国連の調査結果その他は、ついでの情報として書いたもののため、「世界幸福度報告(WHR)」も、指標を評価基準にしてランク付けしたとの印象を与えてしまったようだ。

実のところ、筆者自身、そのような印象を持っていた。また、国内のマスコミも皆同様に指標で評価したかのごとく取り扱っているらしい。

「世界幸福度報告(WHR)」を、指標を基に幸福度を測定したものという扱いは、間違いだという記事:「世界幸福度ランキングのニュースが軒並み間違ってる件」(左文字列クリックで参考ページが開きます)をインターネットで見つけた。

上記Webページの曰く:

「1人当たり実質国内総生産(GDP)」、「他者への寛容さ」、「健康寿命」、「頼れる相手がいること」、「人生を選択する自由」、「汚職のない社会」は幸福度を測る指標ではありません。幸福度はこれらをもとに割り出したものでもないし、これらを数値化したものでもありません。

指標として使えるか?という意味では使えるでしょう。でもこの調査では、これらを指標として幸福度を計算したわけではありません。

幸福度は、アンケートの対象になった各国の国民が認識している自分の幸福度を集計したものです。

つまり、国連がGDPや人生の自由度をもとに勝手に各国をランキングしたわけではなく、各国の国民に対するアンケートの結果をもとにランキングして、結果をGDPや人生の自由度などで説明しようと試みた、というのがホントのところです。

Wikipediaによると:

世界幸福度報告(英語: World Happiness Report)とは、国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する、幸福度調査のレポートである。

この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値であり、主観的な値である(データはギャラップ社によるもの)。報告においては、この幸福度を、GDPや健康寿命を含む6つの説明変数を用いて回帰分析し、各説明変数の寄与を求めて分析している。

データでは150以上の国や地域を対象としている。それぞれの国の幸福度は0~10の値からなる各個人の回答の数値の平均値である。

説明変数、は(1)人口あたりGDP(対数)、(2)社会的支援(困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)、(5)寛容さ(過去1か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるか)、(6)腐敗の認識(政府に腐敗が蔓延しているか)の6つであり、回帰分析で得られるこれらの説明変数の幸福度に対する寄与が与えられている。

つまり、各国民の主観的幸福度を0(最低)から10(最高)までの段階に自ら評価してもらい、その平均値を高い順に順位付けしたものということになる。

その値を他のアンケート調査結果などから、6つの説明変数を設定し、回帰分析で、それぞれの説明変数が国民の幸福度にどれだけ寄与しているかを説明しようとしたものということだ。

その結果、国民の幸福度アンケート集計データの平均値が高い国ほど上位に位置するということになる。その幸福の要因を、6つの項目で説明しようとしたというものであり、「最初に指標ありき」ではないのである。

このようなことをインターネットで情報収集している内、国別幸福度調査は、国連の調査報告以外にもあることを知った。

  • 幸福度調査 (左文字列クリックで参考ページが開きます)
    「スイス 調査会社WINとGallup International」の調査

  • 地球幸福度指数(HPI)(左文字列クリックで参考ページが開きます)
    イギリスのシンクタンク、ニュー・エコノミクス財団(NEF)の調査
これら調査の方法は後述するとして、それぞれの上位10国と日本の順位を並べてみる。

世界幸福度報告(国連)

世界幸福度報告上位10国+日本
前幸福度Webページデータの再録(一部)
日本は、調査対象国155カ国中51位
次項幸福度調査で、幸福度世界1のフィジーは調査対象外

幸福度調査(スイス 調査会社WINとGallup International)

世界幸福度ランキングトップ10+日本
日本は調査対象国55カ国中18位
麻薬や治安で評判芳しからぬ中南米の国が上位にランクされている

地球幸福度指数(英国シンクタンクNEF)

地球幸福度指数
日本は調査対象国151カ国中45位
なおフィジーは調査対象外
この表では、中南米の国が圧倒的
ベトナムが2位に着けているのが注目される

それぞれの調査方法概要

世界幸福度報告(国連)

繰り返しになるが、ギャラップ社の世界世論調査による主観幸福度(自分が幸せだと思うかを0〜10までの段階で答えてもらうというアンケート調査)の結果の国別平均値

その結果を   
  1. GDP
  2. 困ったときに頼ることができる人がいるか
  3. 健康寿命
  4. 人生を選択する自由度
  5. 他者への寛容さ
  6. 汚職のない社会
の6つ要因で説明する(仮説)

この6つの変数でも説明しきれない部分がDystopia+residual(グラフのねずみ色の部分) 。

「Dystopia(ディストピア。ユートピアの反語)」ここで「Dystopiaというのは、6つの変数が全て最低レベルの最低な国があったとするとそこの国民の平均幸福度スコアはどうなるかというベンチマーク」とのこと

幸福度調査(スイス WINとGallup International)

主観幸福度(「①とても幸せ」「②幸せ」「③幸せでも不幸でもない」「④不幸」「⑤とても不幸」の5段階で評価してもらい、①と②の合計割合から④⑤の合計割合を差し引いたものを純粋幸福度と定義し算出。

地球幸福度指数(英国シンクタンクNEF)

国連の世界幸福度報告のデータであるギャラップ社の「主観幸福度調査結果」に、「平均寿命」と「国内の格差」を掛け合わせ、それを「エコロジカル・フットプリント(人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値)」で除したものをHPI指数(地球幸福度指数:The Happy Planet Index)と定義。

人間活動特に文明の活動が地球環境において将来にわたって持続できるかどうかを表す概念である持続可能性を組み込んだ国の幸福度を測る新たな指標とのこと。

ちなみに、日本のエコロジカル・フットプリントは実面積の15倍位になっている

終わりに

いずれの調査も、主観的幸福度調査結果を基にしているが、解析の仕方や地球環境維持の視点を折り込むかどうかで結果が大きく異る。

幸福度調査(スイス 調査会社WINとGallup International)で幸せの合計割合から、不幸の合計割合を差し引くというのが、どういう意味を持つのか、筆者は未だ理解できていない。

また、地球幸福度指数は、主観的幸福度を基本データとしながら、地球環境で持続可能性を組み込んだという点で、理想としては意義あるものと思う。

都道府県別幸福度調査を見て以来、あれこれと、幸福度調査について、情報を見てきた。その結果、世界には、幸福について研究している人がたくさんいることを知った。

治安や貧しさが取り沙汰されるような国でも、幸福度が高い(=幸福と感じている人が多い)国が少なからずあることも意外な発見であった。

幸福度の指標を設定し、その評価で幸福度を順位付けしているとの、マスコミを含めての多くの人の先入観は、当たっていないとことを知ったのも大きい成果。

筆者には、国連の世界幸福度報告が、素直に受け入れやすいように感じるのだが...

それでも、「それがどうしたの!」と言われると返す言葉はない。

参考: ギャラップ世界世論調査(左文字列クリック_表示に時間がかかるかも)

国連の世界幸福度報告や、地球幸福指数の基礎データとなった世界世論調査。日本も調査対象国であり、当然日本語版があるはず...とGoogle検索をしてみたが見つけられなかった。

英語版があるのでそれを参考まで紹介する。 多数のアンケート項目があり、更には、地域の特性なども配慮した大規模なアンケートになっている。