ブルーチーズ

遠藤興輝


写真は、イギリスの「スティルトン」   フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より

青カビの生えたチーズがある。文字通り、ブルーチーズという。

初めてこれを食べたのは、サラリーマンになって間もない頃、会社のあと行ったビアホールで、先輩にごちそうになったときである。

カビ臭く、しょっぱいなというのが印象であった。余り美味いは思わなかった。何回か試している内、舌が馴染んで楽しめるようになった。

結婚してから、デパートで、それらしいものを見つけては買ってきたり、海外に行った折、空港の土産店で見つけては買ってきていたが、いつも気に入ったものに当たるというわけではなかった。

そのうち、世界三大ブルーチーズと呼ばれるチーズがあると知り、それらを買って食べ比べている内、自分の好みのものは、ゴルゴンゾーラ ピカンテと呼ばれるものだと知った。

ゴルゴンゾーラは、イタリアのもので、ピカンテ(辛いの意)と呼ばれるものとドルチェ(甘いの意)といわれるものの2種類ある。三大チーズといわれるものには、他に、フランスのロックフォール、そしてイギリスのスティルトンというのがある。ロックフォールは羊乳のチーズだ。

ゴルゴンゾーラピカンテが好みといったが、ロックフォールやスティルトンをそれほど食べたことがある訳ではない。殊に、イギリスのスティルトンは、一時、例のBSE騒ぎで、ロンドンの空港でも売っていなかったし、デパートでも余り見かけない。従って、どんな味だったかは記憶に残ってない。

ゴルゴンゾーラ以外のブルーチーズを買ってしまい食べたあと、「どうもひとつ違うんだよな」と思い、ゴルゴンゾーラを口して、「ああ、これだ!」と思うようになったのである。

カビの臭いと、辛みがないと物足りない。

先日、カミさんが、ゴルゴンゾーラと一緒にオーストリア産ブルーチーズを買ってきたが、これも、悪くなかった。

ブルーチーズではないが、これは美味いと思ったものに、オーストラリア産のチーズがある。

芥子の実で真っ黒に包んだチーズで、クリームチーズの中に乾燥果実の断片が入っている。その爽やかな甘みが好ましい。

メルボルンチーズと言って売っていた。オーストラリアや、ニュージーランドに詳しい女性に、このチーズの話をしたら、オーストラリアでは極めて一般的なチーズだとのこと。

肴にもってこいの感じだが、おやつでも良いような気がする。デザートチーズともいうらしい。なるほどと思う。

孫達も好んで口にする。

面白いことに、孫達がブルーチーズを嫌がらない。好んで食べている訳ではないだろうと思うのだが、こちらが食べていると、くれという。

不味いと言わないだけでも、嬉しくなる。