表題
アカナイ

新型コロナウイルスは、なかなか治まっていない。

ワクチン開発は、現在、米国・英国・ドイツ・ロシア・中国・インド等が先行しているが、その中で、日本の遅れが目立つている。

そこで、現在最先頭を行く「ファイザー社(米)/ビオンテック社(独)」の開発の速さを知ることにより、日本の遅さの理由を探ってみた。

古来、感染症(天然痘、ペスト等)は国を亡ぼす程の疾患として怖れられ、各国はそれに対する対策を考えて来た。

米国のファイザー社は感染症に対する研究を早くから手掛けており、2018年にはビオンテック社と提携して、インフルエンザmRNAワクチンを研究していたところ、2020年に新型コロナウイルスが発見され、直ちに新型コロナウイルスmRNAワクチン開発に進むことが出来た。

なぜそうなったのか、それは、感染症に対する高い危機意識で、感染症は国の安全保障に関わる案件であるとの認識が産官学にあったと考えられ、各国の産官学はそこに注力していた。

一方、日本は認識が甘く、感染症に関する基礎研究・関連技術の蓄積がなされていなかったが故に、出遅れたと考えられる。

  1. ファイザー社/ビオンテック社のワクチン開発経緯

  2. 以下に、経時的経緯を示す(原典:ロイターによるファイザー社のインタビュー、Answers社記事 2020.11.19)。

    • mRNA 技術

    • 1980年代~  バイオ企業 ( かつては異端技術 )

    • ビオンテック社(独)

    • 2008年設立(トルコ系シャヒン氏夫妻)

      mRNA・がん免疫治療研究等

      mRNA生産技術

    • ファイザー社(米)

    • mRNA・感染症治療研究

      開発リーダーに ドリミッツアー氏招聘 <かつて、ノバルティス社(スイス)で 新型インフルエンザ(2009流行)のワクチン研究のリーダーだった>

      更に、ファイザー研究陣 → ビオンテックに注目

    • 2018年8月 ファイザー/ビオンテック 提携

    • インフルエンザウイルスmRNA・ワクチン研究

      2019年12月 武漢・感染症発表(COVID-19)

      2020年 1月  ウイルス発見(SARS-CoV-2)

    • 2020年1月 ファイザー/ビオンテック

    • 新型コロナウイルスmRNA・ワクチン研究開発に方針転換( ← CEOミッション ← 国 )

      20候補 設計 → 4候補 選定 → P1初期臨床( 米・独 )

    • 2020年 7月  1候補に決定 → 本格臨床へ

    • 2020年11月  P3臨床結果 中間発表 → 今日に至る

    • すなわち、新型コロナウイルスが発見されると、直ちに、同mRNA・ワクチンの創薬(研究開発)に取り掛かっている。

      それは、それまでにインフルエンザウイルスmRNA・ワクチンの研究を手掛けており、十分な蓄積(基礎研究・周辺技術)があったためである。

      日本には、この蓄積がなく、出遅れた。遅れの主因は、感染症に対する産官学の甘さで、特にワクチン開発には消極的ですらあったと言われている。

  3. 創薬の基盤

  4. 創薬の基盤

    創薬は、基礎研究および周辺技術の蓄積の結果として成立する。

    今回のワクチン開発遅れを契機に、日本の科学の基礎研究に関する国の施策が改善されることを期待したい。

参考資料:下記表題をクリックして閲覧ください

以上

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