安谷屋 武志
みなさんバードウォッチングの楽しみをご存知であろうか。
動物園内であれ、原っぱであれ、きれいな鳥を見ればそれなりの感動は覚える。しかし自然の中で例えばカワセミを自分の望遠鏡で捕らえた時の感動は格別のものがある。
実は私も以前は鳥に格別の興味を持っていた訳ではないが、6年程前にNKKから現在の会社(日本パーカライジング)に移って幸運にもバードウォッチングを始める機会を得た。
まずは環境である。現在の職場は平塚市大神という所であるが、ここは平塚と厚木の丁度中間地点でしかも相模川の河川敷まで2、300mという極めて自然に恵まれた所。
次に良き指導者に恵まれたこと。日本野鳥の会指導員を委嘱されている大先生が同じ職場に居られた。とても面倒見の良い方で、昼食後のお昼休みに毎日バードウォッチングに連れ出してくれ、望遠鏡持参で野鳥の名前、習性、さえずりなどを実地で個人教授を受ける機会に恵まれた。環境もさることながら、毎日受けられるというのが良かった。お陰で2、3年のうちにバードウォッチをひとつの趣味にすることができた。
お昼休みに相模川河川敷で見られる鳥:最も期待しているのが空飛ぶ宝石箱といわれる前述の゛カワセミ”。これはとまっている姿、飛んでいる姿、いずれも身近に見られる鳥の中で最高。つい1,2年前までは2、3日に一度はお目にかかったが、最近は後述の原因で週に一度見られれば良い方。
次に期待して出掛けるのが“紅すずめ”。この鳥は我が先生もここで始めて見たという珍しいもの。通常のすずめよりやや小振りながら、腹部が鮮やかな紅色をしている。更に新種としてピンク、グリーンのものも見つかった。これに至っては文献にも見ないという。
河川敷には人の丈より高い萱や葦などが生茂って原生状態だったのが、1、2年前に公園を造るとかで伐採され、この珍種が見られなくなったのが極めて残念。但し最近また紅色のものだけは見られるようになった。前のものが帰って来てくれたのか、いくらかホットしている。しかし以前より用心深くなっており、近づいて細かく観察できない。
外見は別として、さえずりが楽しいものに、セッカ、オオヨシキリ、ヒバリなど。比較的大型な鳥の白鳥、青鷺、大鷺、中鷺、小鷺、ゴイサギ、ササゴイ、カワウ、カモ類などは、遠くからも観察できるので楽しい。
動きに特徴のあるのに、水面すれすれにポラリスミサイルのように飛ぶイソシギ、空中でホバリングしながら小魚を狙って水中に飛び込む小アジサシ、やたらと尾を上下に振って歩く白セキレイ、背黒セキレイ、鎌首を持ち上げて独特なポーズをとるツグミなどとの遭遇も楽しみ。
その他飛び立つと黄緑色の羽が特徴のカワラヒワ、ホオジロ、アオジなど。特に初夏が鳥の種類も多いしさえずりもにぎやかで、バードウォッチングにとって最も楽しい季節である。
近年、宅地化が進んだため、結構珍しい野鳥が住宅地付近で見られることがある。「カワセミが○○公園の池で見られるためカメラマンが集まる」などという地方版ニュースが時折流されることがあるが、私は人通りの多い団地の中を流れているいたち川(横浜市栄区内)にもカワセミが棲息しているのを知っている。しかも一羽でなく、2羽以上。それ以外に白セキレイ、背黒セキレイ、黄セキレイや数多くのカモ類が見られるという素敵な場所である。
我が家に居ても結構多くの野鳥が見られる。シーズンを別にしてウグイス、メジロ、コゲラ、シジュウガラ、ヒヨドリ、ムクドリ、オナガ、白セキレイ、それから声だけは聞こえるが姿を見せないコジュケイなど。メジロなど時に10羽ぐらい集団で来ることがあり、窓越し1〜2m位の所で観察できるチャンスに恵まれると本当に充実感を覚える。
そのうちきれいな野鳥をカメラに収めようと望遠レンズを持参して出掛けたこともあるが、野鳥を撮るのは本当に難しいことがわかった。通常の300〜700mm程度の望遠では被写体に5〜10mくらいまで接近しないとサマにならない。そこまで接近するのは至難なワザ。サンクチュアリーへ行き、隠れ小屋にでも潜り込んで望遠レンズで待ち構えるということをしないといけないのであろう。
私にはそこまで執着心はない。先生が苦労して撮影した見事なカワセミの写真を1枚戴き、いつも感心しながら眺めている。もし私にもシャッターチャンスが訪れればこのHPに載せます。
以上、取り止めのない話になりました。